制作期間1週間のWebCM「ミルクの音 篇」


萩原 日清食品さんのコミュニケーションについては、多くの人と「どうすれば、あんなおもしろい広告ができるんだろう」と話題になります。昨年の「カップヌードル」のWebCM「ミルクの音 篇」も大変おもしろかったです(笑)。
 
カップヌードル「ミルクの音 篇」
 
米山 
ありがとうございます(笑)。あのCMは企画から1週間でローンチしたんです。

萩原 そんなに短い期間で制作されたのですか。

米山 そうなんです。もともとは3~4カ月という準備期間があったのですが、担当者がクリエイティブ案をいくつ持ってきても、どれもこれもしっくりこなくて…。左脳で見ると成立しているのに、右脳に切り替えて見ると、どれもおもしろくなかったんです。

そうこうしているうちに、どんどんと時間がなくなってしまい、残り1週間でようやく社長のOKが出ました。没案の中にインターネット・ミーム(インターネット上のSNSやウェブサイト、掲示板などを通じて、人々の間で急速に拡散されて話題となった文章や画像、動画のことを指す)にもなっていた水素水の通販動画のパロディがあり、それを担当者が諦めきれずに持っていたんです。また、同じくインターネット・ミームになっていた「Daisuke(※元ネタはDJユニットの横田商会が2004年にリリースした「Daisuke」という楽曲)」を足したことでOKが出たんです。
  

1週間という制作期間でしたが、かなりこだわった映像に仕上げました。出演者が「だいすき」と言いかけると、途中で画面が切り替わって「Daisuke」が流れるのですが、その切り替えタイミングを1フレーム単位で調整しています。「だいすき」の「す」を言いはじめる「すー」で切り替わるのか、「す」の終わりで切り替わるのか、「Daisuke」の「ke」の頭で切り替わるのかなどの微調整を繰り返しました。

世の中に転がっているDaisukeミームを片っ端から見ていって、一番おもしろい映像を分析して調整しているんです。私も仕上がった映像を見て、1フレームのずれが気になり試しで修正してもらったのですが、修正版を見たらやっぱり前の方がおもしろく感じたので元に戻しました(笑)。それくらい細部にまでこだわってつくっているんです。

萩原 それはすごいですね。そこまで内部の人間がこだわっていた映像だったとは…。