「顧客の期待を超えるものを」
ーー メルマガの工夫のほか、リピート率向上に向けて取り組んでいることはありますか?
キャリアの目標のひとつが、「ブランドの課題に対して商品にも関与できるマーケターになりたい」ということでした。大企業では商品開発とマーケティングが完全に分業しているケースが少なくないと思いますが、Minimalではマーケターとして商品開発にもしっかり関わることができます。CRMの担当者として、リピート購入につながるような商品設計に加わっています。
たとえば顧客構成を分析すると、継続的に買ってくださるお客さまのセグメントが見えてきました。そして、そういったロイヤル顧客の方々のうち、特定の商品を気に入って何度も買ってくださっているセグメントがあることも分かってきました。もしここに「新たなお気に入りの商品」が加われば、LTVが上がります。じゃあそれをつくろう! ということで、たくさんアイデアを出しているところです。
ーー LTVの向上につながるような新商品開発には、どのように取り組んでいるんですか。
とにかく緒方などに壁打ちして、高速でPDCAを回しています。一朝一夕ではうまくいきませんが、関わりたかったものづくりのプロセスに、マーケターとして関われていると実感できるのが嬉しいです。何回もPDCAを回しながら、「きっとうまくいく。成果を出せる」と前向きに取り組んでいます。
心がけていることのひとつに、先ほどもお話しした「クレイジー」があります。当社は新商品を出すサイクルが非常に早く、それは「それだけ過去に試行錯誤してきた」ということの証左でもあります。自分が出したアイデアが「もう検討済みである」というケースも多いです。だからこそ常識にとらわれず、ある意味「クレイジー」なアイデアを出そうとしています。
ーー 「クレイジー」は会社としてキーワードなんですね。
入社したての頃、「ECチームに求めること」として緒方から渡された資料の中の一節に「クレイジーさ」と記されていました。「世界は無邪気な動機でしか変えられない」という緒方の言葉とともに、印象に残っています。これらの言葉が商品開発やECに関して意味するのは、「一般的な製造小売業の常識からするとイカれたことをしてきたMinimalを、自分たちが何より好きだからこそ、自分たち自身がイノベーションの創り手であろう」ということだと思います。
たとえば毎月違うスイーツがお客さまに届くサブスクリプションサービスは、毎月、お客さまが驚くような内容でなければなりません。もちろんマーケティング視点で「このセグメントにはこの商品が刺さる」という分析は重要です。また、商品ごとに異なる内容のアンケートをとって、その商品のこだわったポイントや価値がお客さまに感じていただけているかどうかデータを集計し、次の商品や施策につなげていくことも行っています。ただ、これらのマーケティングに加え、ブランドが長く愛され続けるには、ある意味でセオリーや常識を超えた「クレイジーさ」が必要なんです。
ーー スキルや提案力を磨くために、日常的にしていることはありますか?
同じ基盤システムを使っている小売企業のメルマガを大量に登録して、日々届く数十件のメルマガに目を通し、興味を引くコラムや新しい商品の見せ方などの参考にしています。
それから、会社の方針としてアートのインプットを勧められているので、展覧会やコンサートを積極的に鑑賞しており、「食のアート」にも触れるようにしています。食材の組み合わせや美味しさに感動して、お店の人に詳しく話を聞くこともあります。直感の赴くままに対話型ワークショップに参加したり、地域の美術館や記念館に行くことを目的に旅行したりして、フットワーク軽く、さまざまな刺激をインプットするように心がけています。
ーー 最後に目標を聞かせてください。
まずはリピート率を安定的に向上させる突破口となる施策を打つことです。今はずっと「ファウル」なので、しっかり「ヒット」を飛ばしたいです。
加えて、「お客さまの期待を超えるもの」を自分の手で生み出すのも目標です。それが商品なのか、新しいサブスクなのか、あるいはイベントなのかはまだ分かりませんが、「これだからMinimalは目が離せない」とお客さまに感じていただけるようなものをつくりたいです。
Minimalはスタートアップですが、創業から10年の歴史があります。ですから、常に「クレイジー」であろうとしても、どうしても枠のようなものができているかもしれません。そこを新しい風で打ち破ってアップグレードしていくのが新人の使命ですし、緒方をはじめ会社の人々への恩返しにもなると考えています。
ーー 本日はありがとうございました。
【上司の視点】「PL責任者」の意識で価値創造を

緒方 恵 氏
βace 取締役COO
βace 取締役COO
鈴木さんは入社以来、非常に前向きなスタンスで業務に取り組んでおり、その行動量・熱量ともに高い水準を維持しています。加えて、地頭の良さと柔軟な思考力を兼ね備えており、課題に対して自ら考え抜き、粘り強く行動する姿勢が印象的です。
何よりも「へこたれない」姿勢が強みであり、その成長意欲と行動力には大きな可能性を感じています。自分が同じ年代のころを思うと、恥ずかしくなるほど頼もしい存在です。
Minimalはチョコレートという嗜好品を扱うベンチャーであり、資金やリソースが潤沢とは言えません。その中で、お客さまとの情緒的なつながりをいかに築き増やしていくかが、ブランドを成長させる最重要テーマです。
コミュニケーションの巧拙だけで解決できる領域ではなく、事業全体を俯瞰し、持っている資源の全てを聖域なく最大限に活用して価値を創出する力が求められます。
つまり、マーケターとして特定のKPIを追うだけでなく、事業全体を良くする視点での問題解決や価値創造つまり「自分がPL責任者である」という意識で取り組んでほしいと思います。 「チョコレートを新しくする」というMinimalのビジョンのもと、鈴木さんらしい発想と行動力で、これまでにない新しい価値を次々と生み出していってくれることを心から期待しています。

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