バナー広告で「人を泣かす」ことはできる?
井上 ところで、バナー広告で「人を泣かす」ことはできますか。
中村 何度か考えたことありますけど、実現できたことはないですね。
井上 無音だと厳しいでしょうか。
中村 映画を注意して観るとわかるのですが、人はかなりBGMが作用して泣いています。BGMがなくても泣いたのは「シンドラーのリスト」くらいですかね。
「泣く」という感情は、自分にどうしようもできない、もどかしい気持ちになったときというのが基本。また、そういう状況に追い込まれた人への共感だと言われています。赤ちゃんが泣くのも、どうしようもできないからですよね。
人が誰かの死に対して泣くのも、もう会うことはできないから。そういうものを追体験させられたら、バナーであっても感動できるんじゃないかなあと思っているのですが。
井上 まさにそういう洞察を広告クリエイティブのみならず、広告フォーマットの開発にも活かしていきたいですね。
それがすべての広告の土台になるので、広告フォーマットの開発にこそ、ですね。それこそ最初にお話しした、クリエイターの知恵が必要部分なのだと思います。中村さんと、こんな感じで“好かれ者”になる広告フォーマットをつくっていきます。
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