広告代理店のレポートには、ゼロ回(未到達)がない
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これは関東地区でアクチュアル世帯630GRP投下された事例です。商品は、主に男性13~29歳くらいがターゲットと思われます。
まず全体としては63.9%にリーチしていますが、これを人数に直すと2648万3532人になります。そしてこの人たちに合計1億3241万7661回のインプレッション数(表示回数)のCMが当たっています。
単純に割ると一人平均5.0回になるのですが、実は5回当たっている人は全体の3.4%しかいません。ゼロ回が40.2%、次に1回が19.2%、次は9回以上の9.8%となります。
正規分布どころか逆のUの字型になります。おそらく広告代理店はレポートで平均フリークエンシーというデータを持ってくると思いますが、平均にはほとんど意味がありません。また、通常のレポートの平均フリークエンシーにはゼロ回(未到達)が含まれていません。到達実態を知ることで、このようなフリークエンシーの分布を把握していく必要があります。
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このようなフリークエンシー分布は630GRPと、比較的少ない投下量だから生じるわけではありません。2000GRPにもなると、返ってフリークエンシー過多が厚くなるだけです。
もうひとつの見方として、総到達人数と総インプレッション数におけるターゲットの割合があります。この商品は男性13~29歳がメインターゲットとしましたが、このターゲットに当たったのは、全体到達人数の7.1%、総表示回数の5.3%にしかなりません。
つまり20回に1回しかターゲットに当たっていません。テレビスポットの場合、人口が多く視聴時間が長い高齢層により厚く、人口が少なくて視聴時間が短い若年層にはより薄く当たることになります。
テレビは最もCPMの安いメディアでトータルではCPMは470円(この事例では)です。ただし、ターゲットが若年層だと、この事例ではターゲットCPMはティーン男性で3万2120円、20代男性で1万1790円になってしまいます。この層だけを対象とするなら、おそらくデジタル動画でターゲティングした方が安いように思います。若年層ターゲットに関しては、デジタルでのターゲットリーチ補完が必要になるでしょう。
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これもまたGRPが多くなっても基本的なターゲットバランスは変わりません。とにかく高齢層にやたら厚く、若年層に薄く当たるのです。
さらにターゲット別にフリークエンシーの分布を見ると、ティーン男性においては、52.7%がゼロ回(未到達)になります。その昔、スリーヒット理論なるものがありましたので、3回以上の接触を効果があるものとすると、18.5%しか効果的な到達になっていないことになります。
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このあたりがテレビスポットの到達実態です。