東京・お台場パレットタウンの「MORI Building Digital Art Museum: EPSON teamLab Borderless(森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ・ボーダレス)」は、これまでにない新しいタイプのデジタルアートのミュージアムだ。
施設面積は、六本木ヒルズにある森美術館の約5倍にあたる1万平米。そこでは、プログラマ・エンジニア、建築家、デザイナー、アニメーターなどのクリエイターで構成されるチームラボが展開する体験型アート「チームラボ・ボーダレス」の色鮮やかで幻想的な約60点のアート作品を体験できる。
6月の開館以来、チケット完売が続くなど大きな話題を呼んでいるミュージアムは、どのようにして生まれたのか。プロジェクトチームから、森ビルの杉山央氏とチームラボの工藤岳氏、エプソン販売 蟹澤明氏の3人が、8月29日に東京・港区で開催されたイベント「BACKSTAGE 2018」に登壇。プロジェクトに込めた思いや、巨大な空間を実現させた最先端テクノロジーについて語った。
施設面積は、六本木ヒルズにある森美術館の約5倍にあたる1万平米。そこでは、プログラマ・エンジニア、建築家、デザイナー、アニメーターなどのクリエイターで構成されるチームラボが展開する体験型アート「チームラボ・ボーダレス」の色鮮やかで幻想的な約60点のアート作品を体験できる。
6月の開館以来、チケット完売が続くなど大きな話題を呼んでいるミュージアムは、どのようにして生まれたのか。プロジェクトチームから、森ビルの杉山央氏とチームラボの工藤岳氏、エプソン販売 蟹澤明氏の3人が、8月29日に東京・港区で開催されたイベント「BACKSTAGE 2018」に登壇。プロジェクトに込めた思いや、巨大な空間を実現させた最先端テクノロジーについて語った。
作品の中に没入して一体化させる演出
森ビルとチームラボによるプロジェクトチームがデジタルミュージアムの構想を考え始めたのは今から3年前の2015年。チームラボが展示作品のコンセプトを考え、空間は各社スタッフが加わった混合チームが協力して構成。空間を設計に移す段階でプロジェクションパートナーとしてエプソンが参加した。完成した「森ビルデジタルアートミュージアム」は、「ボーダレス」をテーマにした「ボーダレスワールド」、トランポリンやボルダリングなどができる「チームラボアスレチックス 運動の森」、光と音色が変化する幻想的な空間「ランプの森」など、5つの世界で構成されている。
チームラボの工藤氏は、ミュージアムのコンセプトについて、「私たちのデジタルアートは、見る人が身体的に作品の中に没入して一体化することを重視しています。ですから、一般的なミュージアムのような順路はつくらず、来場者は迷路のような空間の中で、自分で道を探しながら進んでいくような構成にしました」と説明する。
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「まさに、これが身体的な没入で、来場者も作品の一部になってしまうわけです。この来場者を作品にしてしまうアイデアは、2014年にニューヨークで開催されたジャパン・ソサエティのイベントで生まれました」と、工藤氏は振り返る。
ニューヨークでのイベントには、予想を遥かに超える大勢の来場者が集まった。空間内に人が入り過ぎたため、作品がフリーズして花が咲かないというアクシデントが起きてしまった。
ところが、中に入っている人を減らした途端、花が咲き始めて、それを見た人々は感嘆の声をあげた。後から入場した人は、そこにいる鑑賞者も作品の一部のように見えたのだ。これが作品に来場者が参加するというフォーマットが生まれた瞬間だったという。
不動産収入ではない「新たなビジネスモデル」
森ビルの杉山氏は、「森ビルがデジタルアート ミュージアムに込めた思いは3つある」と話す。1番目は、東京を世界一の都市にしたいという思い。そのためには、都市の魅力をさらに高める必要がある。
「都市の魅力を高めるものとは何か。それは、文化と芸術です。今、日本が世界に誇る文化には、アニメやゲーム、ファッションがありますが、これらと同じようにデジタルアートは、日本を代表する文化になりえるのです」と杉山氏。
海外からの旅行者が日本のアニメやファッションの本場として秋葉原や原宿を訪れるように、日本のデジタルアートに触れるために「森ビル デジタルアートミュージアム」を訪れる。そうなれば、東京に新名所が生まれ、東京の魅力がさらに上がると考えた。その狙い通り、来場者の4割近くが海外から訪れているという。
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3番目は、不動産業の課題を克服したいという思いになる。現在、東京には新しい街づくりプロジェクトが生まれ、さまざまな建物が建設されている。そうした中で、ビルディングという建物自体の差別化が難しくなってきた。
「従来のビジネスは、我々が所有する不動産をテナントに貸し出すモデルでしたが、これからの時代はさらに一歩進んで、我々がコンテンツを生み出す努力が必要だと考えています。今回のプロジェクトは、お客さまから入場料をいただくBtoCビジネスへのチャレンジになるのです」