ガスパビリオン「お化けワンダーランド」:エネルギーの未来を楽しく学ぶVR体験

 日本ガス協会が展開するパビリオン「お化けワンダーランド」は、VR技術を活用し、来場者がお化けとして仮想世界を体験するユニークな構成が特徴です。この没入型の演出を通じて、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを分かりやすく紹介しています。

 特に注目されるのが、二酸化炭素をリサイクルして生成される次世代都市ガス「e-メタン」の紹介です。来場者は楽しみながら、エネルギーの未来や環境課題について考える機会を得ることができ、ガスのテクノロジー進化と持続可能性への挑戦が体験を通じて伝わります。
 


PANONA NATUREVERSE:いのちを支える最先端医療技術の発信拠点

 PANONA NATUREVERSEは、命とテクノロジーをテーマに据えたパビリオンです。人気アニメキャラクターである鉄腕アトムがナビゲーターを務め、ブラックジャックも登場する映像コンテンツにより、来場者の関心を引き込みつつ、複雑な医療技術への理解を促しています。

 展示の中心には、iPS心筋シートを用いた「iPS心臓」など、再生医療の最前線を紹介するコンテンツが据えられています。こうした展示構成からは、社会課題の解決に貢献しようとする企業の強い意思と、最先端医療技術への高い期待がうかがえます。
 

よしもと waraii myraii館:笑いを通じて社会とつながる場

 吉本興業が展開する「よしもと waraii myraii館」では、同社のロゴをかたどった巨大な球体が来場者を迎えます。館内では、訪日外国人向けのコントが上演されていました。日本のお笑い文化を、国際的に共有する試みに挑戦しています。

 「笑いのチカラ」をテーマに据え、言語や文化の壁を越えて人々をつなげるコミュニケーション手段としての笑いを通じて、吉本興業が果たす社会的役割を可視化する構成となっていました。
 

サントリー・ダイキン「アオと夜の虹のパレード」:水と空気の水上スペクタクルショー

 サントリーとダイキンが共同で手がける「アオと夜の虹のパレード」は、水と空気という両社の資源をテーマにした水上ショーです。水、空気、光、炎、映像、音楽を融合させた演出で、生命の物語を来場者の五感に訴えかけます。

 ショーは、幅約200メートル、奥行き約60メートル、ショーエリア面積約8,800平米におよぶ巨大空間で展開され、万博会期中は毎日上演予定です。物語は、主人公の子ども「アオ」と、水と空気の精霊「ドードー」が夜の虹の下で出会い、祝祭へとつながる幻想的なストーリーです。 水しぶきが来場者に届く場面もあり、観客と空間が一体となる演出が印象的です。両社の資源に対する想いや、自然との調和に向けた企業姿勢が体験の中に巧みに表現されています。
 


万博が映し出す「企業の意思」

 今回の大阪・関西万博は、企業がどのような未来を実現しようとしているのかを示す場として、大きな意義を持っています。

 自然、健康、テクノロジー、エネルギーなどの多様なテーマに対し、各企業は真摯に向き合い、それぞれのビジョンを来場者に体験として提供しています。いわば、万博という空間が、企業がブランドメッセージを体験として発信する“体験型メディア”として機能しているのです。

 会期はまだ始まったばかりです(2025年10月13日まで)。ぜひ会場に足を運び、自社のビジョンや存在意義を、どのようにステークホルダーに伝え、未来づくりに参加してもらうか。そのヒントを万博のパビリオンから見つけてみてはいかがでしょうか。
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