世界最大の広告賞「カンヌライオンズ国際クリエイティビティフェスティバル2025(カンヌライオンズ)」が6月16日に開幕した。
6月20日までの5日間にわたり、計2万点以上の応募作品の中から選ばれた世界最高峰の広告・コミュニケーション事例が表彰されるほか、多種多様なセミナーやトークセッション、幅広い業界の第一線で活躍するプロフェッショナル同士のネットワーキングが行われる。
ここでは、カンヌライオンズ2025をいくつかの「数字」で概観する。
カンヌライオンズ開幕前日の6月15日に行われたプレスブリーフィングの様子
特に今年は、ラテンアメリカからのエントリーが前年比16%増加、独立系エージェンシーからのエントリーが同18%増加するなどの特徴がみられた。
エントリー数が増えた部門については、以下の通り。定量的(測定可能)なインパクトが求められる部門の応募数が増える傾向にある。ビジネスと社会の両方にポジティブな変化を起こすことを目指して、クリエイティブの力が積極的に活用されていることが伺える。
▶︎Design部門:前年比17%増
サブカテゴリ「Transformative Design(変革的デザイン)」が新設されたDesign部門は、エントリー数が前年比17%増加。デザインが、社会やブランドの変革を促すツールとしてますます重要な役割を果たしていることを示していると言える。
▶︎Creative B2B部門:前年比13%増
▶︎Entertainment for Sport:前年比15%増
▶︎Creative Strategy部門・Creative Effectiveness部門:前年比10%増
「Creative Strategy」部門と「Creative Effectiveness」部門からなるStrategy領域へのエントリーは前年比10%増加し、5年連続の成長を記録した。明確なビジネス成果をもたらす戦略への関心が高まっていることを示していると言える。
▶︎Glass: The Lion for Change:前年比53%増
後述する、Glass: The Lion for Changeの再定義により、エントリー数が前年比53%増加した。
カンヌライオンズ開幕前日の6月15日に行われたプレスブリーフィングの様子
▶︎Glass: The Lion for Change の再定義
創設から10周年を迎える「Glass: The Lion for Change」を再定義。これまでの「ジェンダー」のみならず、障がい・人種・セクシュアリティ・社会的不平等など、より広範なコミュニティに公平性をもたらす作品を評価する。
▶︎「Social & Influencer」部門から「Social & Creator」部門に名称変更
5つのサブカテゴリを新設するとともに、名称を「Social & Influencer」部門から「Social & Creator」部門に変更。マーケティング領域におけるクリエイター・エコノミーの進化を踏まえての変更で、ブランドメッセージの形成・拡散においてクリエイターが果たす重要な役割に注目する。
▶︎Design部門にサブカテゴリ「Transformative Design」を新設
サブカテゴリ「Transformative Design(変革的デザイン)」を追加。行動の変化を促し、社会的・環境的目標を前進させ、新しいクリエイティブ基準を打ち立てるような革新的かつ未来志向のデザインを評価する。
▶︎Creative B2B部門で、取り組みの主体のタイプを明確化
応募時に「伝統的なB2Bモデル(企業が企業に対して直接販売)」や「パートナーシップを通じて消費者にアプローチするモデル」など、ビジネスモデルを明確化するルールを採用。
▶︎Creative Business Transformation部門に2つのサブカテゴリを追加
以下2つの新たなサブカテゴリを導入した。
・Transformative Strategy(変革の戦略):変革の出発点となるインサイトとビジョンを評価する
・Employee Experience(従業員体験):社内での支持や共感を得るための、従業員の巻き込み方を評価する
▶︎部門横断のサブカテゴリ「Long-Term Brand Platform」を新設
一過性の話題で終わるキャンペーンではなく、少なくとも3年間にわたってブランド価値の構築、顧客ロイヤルティの強化、測定可能なビジネス成果に貢献している取り組みおよびブランドを評価する。応募条件は以下の通り。
・ブランドプラットフォームとして3年以上市場に存在していること
・少なくとも3つ以上の異なるキャンペーンを含むこと
・2022~2024年にカンヌライオンズでの受賞またはショートリスト入りの実績があるキャンペーンを含むこと
ダヴの「Real Beauty」やナイキの「Just Do It」、マスターカードの「Priceless」など、長年にわたり文化的影響とビジネス成果を両立してきたプラットフォームが例に挙げられている。
▶︎部門横断のサブカテゴリ「リテールメディア」を新設
リテールメディアの台頭に対応し、Media部門およびCreative Commerce部門に「リテールメディア」を扱うサブカテゴリを新設した。リテールメディアの効果的な活用を通じて、消費者との関係性強化を達成した取り組みを評価する。達成した作品を評価します。
▶︎部門横断のサブカテゴリ「Excellence in Image Description」を新設
画像説明(image description)および代替テキスト(alt text)の活用を称えるため、Digital Craft Lions と Industry Craft Lions に新たなサブカテゴリ「Excellence in Image Description」を設置。視覚に障がいのある人々が画像を視覚化できるよう工夫されたテキストを通じて、アクセシビリティの向上、ユーザー体験の充実、ブランド価値の効果的な伝達を達成した取り組みを評価する。
ヤングカンヌは1995年の創設以来、今年で30周年を迎えた。これまでに90カ国から累計8000名が参加し、250名がゴールドとして表彰された。
今年は21カ国から62人が参加し、そのうち77%を女性が占めるという。国際的なクリエイティブの祭典に対する、マーケターからの注目が高まっている。
カンヌライオンズ開幕前日の6月15日に行われたプレスブリーフィングの様子
6月20日までの5日間にわたり、計2万点以上の応募作品の中から選ばれた世界最高峰の広告・コミュニケーション事例が表彰されるほか、多種多様なセミナーやトークセッション、幅広い業界の第一線で活躍するプロフェッショナル同士のネットワーキングが行われる。
ここでは、カンヌライオンズ2025をいくつかの「数字」で概観する。

エントリー総数:2万6900件
2025年のエントリー総数は、96カ国から2万6900点に達した。2024年は2万6753点と、2023年の2万6992点から微減。そこからの回復基調にあると言えそうだ。特に今年は、ラテンアメリカからのエントリーが前年比16%増加、独立系エージェンシーからのエントリーが同18%増加するなどの特徴がみられた。
エントリー数が増えた部門については、以下の通り。定量的(測定可能)なインパクトが求められる部門の応募数が増える傾向にある。ビジネスと社会の両方にポジティブな変化を起こすことを目指して、クリエイティブの力が積極的に活用されていることが伺える。
▶︎Design部門:前年比17%増
サブカテゴリ「Transformative Design(変革的デザイン)」が新設されたDesign部門は、エントリー数が前年比17%増加。デザインが、社会やブランドの変革を促すツールとしてますます重要な役割を果たしていることを示していると言える。
▶︎Creative B2B部門:前年比13%増
▶︎Entertainment for Sport:前年比15%増
▶︎Creative Strategy部門・Creative Effectiveness部門:前年比10%増
「Creative Strategy」部門と「Creative Effectiveness」部門からなるStrategy領域へのエントリーは前年比10%増加し、5年連続の成長を記録した。明確なビジネス成果をもたらす戦略への関心が高まっていることを示していると言える。
▶︎Glass: The Lion for Change:前年比53%増
後述する、Glass: The Lion for Changeの再定義により、エントリー数が前年比53%増加した。

審査員数:500名以上
79カ国から500名以上の審査員が集結。カザフスタン、アイスランド、モンゴル、アゼルバイジャンなど、審査員として初参加する国も多い。部門数:30(昨年と同様)
部門数は30と、昨年からの変更はない。サブカテゴリーの新設をはじめとする、いくつかの変更点に触れておく。▶︎Glass: The Lion for Change の再定義
創設から10周年を迎える「Glass: The Lion for Change」を再定義。これまでの「ジェンダー」のみならず、障がい・人種・セクシュアリティ・社会的不平等など、より広範なコミュニティに公平性をもたらす作品を評価する。
▶︎「Social & Influencer」部門から「Social & Creator」部門に名称変更
5つのサブカテゴリを新設するとともに、名称を「Social & Influencer」部門から「Social & Creator」部門に変更。マーケティング領域におけるクリエイター・エコノミーの進化を踏まえての変更で、ブランドメッセージの形成・拡散においてクリエイターが果たす重要な役割に注目する。
▶︎Design部門にサブカテゴリ「Transformative Design」を新設
サブカテゴリ「Transformative Design(変革的デザイン)」を追加。行動の変化を促し、社会的・環境的目標を前進させ、新しいクリエイティブ基準を打ち立てるような革新的かつ未来志向のデザインを評価する。
▶︎Creative B2B部門で、取り組みの主体のタイプを明確化
応募時に「伝統的なB2Bモデル(企業が企業に対して直接販売)」や「パートナーシップを通じて消費者にアプローチするモデル」など、ビジネスモデルを明確化するルールを採用。
▶︎Creative Business Transformation部門に2つのサブカテゴリを追加
以下2つの新たなサブカテゴリを導入した。
・Transformative Strategy(変革の戦略):変革の出発点となるインサイトとビジョンを評価する
・Employee Experience(従業員体験):社内での支持や共感を得るための、従業員の巻き込み方を評価する
▶︎部門横断のサブカテゴリ「Long-Term Brand Platform」を新設
一過性の話題で終わるキャンペーンではなく、少なくとも3年間にわたってブランド価値の構築、顧客ロイヤルティの強化、測定可能なビジネス成果に貢献している取り組みおよびブランドを評価する。応募条件は以下の通り。
・ブランドプラットフォームとして3年以上市場に存在していること
・少なくとも3つ以上の異なるキャンペーンを含むこと
・2022~2024年にカンヌライオンズでの受賞またはショートリスト入りの実績があるキャンペーンを含むこと
ダヴの「Real Beauty」やナイキの「Just Do It」、マスターカードの「Priceless」など、長年にわたり文化的影響とビジネス成果を両立してきたプラットフォームが例に挙げられている。
▶︎部門横断のサブカテゴリ「リテールメディア」を新設
リテールメディアの台頭に対応し、Media部門およびCreative Commerce部門に「リテールメディア」を扱うサブカテゴリを新設した。リテールメディアの効果的な活用を通じて、消費者との関係性強化を達成した取り組みを評価する。達成した作品を評価します。
▶︎部門横断のサブカテゴリ「Excellence in Image Description」を新設
画像説明(image description)および代替テキスト(alt text)の活用を称えるため、Digital Craft Lions と Industry Craft Lions に新たなサブカテゴリ「Excellence in Image Description」を設置。視覚に障がいのある人々が画像を視覚化できるよう工夫されたテキストを通じて、アクセシビリティの向上、ユーザー体験の充実、ブランド価値の効果的な伝達を達成した取り組みを評価する。
ヤングカンヌ参加者:過去最多450名
カンヌライオンズのプログラムの一つとして開催される30歳以下の若手向けコンペ「ヤングライオンズコンペティション(ヤングカンヌ)」には、過去最多 67カ国・450名以上が参加。各国予選を勝ち抜いた代表チームが会期中に行われる本戦に臨み、6月20日(金)11:00に結果が発表される。ヤングカンヌは1995年の創設以来、今年で30周年を迎えた。これまでに90カ国から累計8000名が参加し、250名がゴールドとして表彰された。
CMOアクセラレーター・プログラムの参加者:21カ国62名
グローバル企業のシニアマーケティングリーダー向けの学習プログラム「CMOアクセラレーター・プログラム」は、元 P&G グローバルマーケティングオフィサーのジム・ステンゲル氏がリードする2日間のプログラム。2013年以降、50カ国以上から450人を超える卒業生が参加してきた。今年は21カ国から62人が参加し、そのうち77%を女性が占めるという。国際的なクリエイティブの祭典に対する、マーケターからの注目が高まっている。
