企業の変革を率いるリーダー約200人が終結
事業変革の最前線を探求するカンファレンス「Xplorers(エクスプローラーズ)」が、8月26日にシェラトン都ホテル東京(東京・港区)で開幕した。電通グループ協力の下、ナノベーション主催で、今年が3回目の開催となる。
近年、AIをはじめとしたテクノロジーの進化により、あらゆる業界を取り巻く環境が劇的に変化している。こうした中で、世界中のさまざまな分野でトランスフォーメーションの必要性が高まっており、イノベーターによる躍進に大きな期待が寄せられている。
本カンファレンスには、企業の意思決定者や領域のエキスパートなど第一線で活躍する変革のリーダー約200人が集結。事業変革・新規事業創発・デジタルトランスフォーメーションに関する最新の情報に触れ、変革のきっかけを生み出すことを目指す。
最初のプログラムであるキーノートパネルは、変革を推し進める3社のトップによる「CEO討論」。東日本旅客鉄道 代表取締役社長 喜㔟陽一氏、近畿大学 情報学研究所長 特別招聘教授でKADOKAWA 取締役 代表執行役社長の夏野剛氏、電通 代表取締役 社長執行役員の佐野傑氏が登壇し、CDO CLUB JAPAN 代表理事&創立者の加茂純氏がモデレーターとなって「VUCA時代に必須!攻めの企業カルチャー」をテーマに議論した。
日本のGDPが過去30年以上にわたり停滞している一方で、米国や韓国は同期間に2.5倍以上の成長を遂げている。この差の背景には、日本における生産性向上の遅れ、特にAIを含むテクノロジー進化への適応不足がある。今後の日本経済の維持・成長には、社会制度やルールの改革に加え、企業文化の抜本的な変革が不可欠だ。
人口減少が進む中、生産性向上は避けて通れない重要課題だが、その実現を阻む要因として、各業界に残る規制、硬直的な組織構造、旧態依然とした企業文化がある。それでも、いま目の前にある変革の機会を逃さず実行に移すことができれば、日本企業は生産性の向上、持続可能な成長、そして国際競争力の確保を実現できるという前向きな見解が示された。
AIの活用は、その鍵の一つである。標準化された作業はAIに委ねることで効率化が可能となり、人間はリーダーシップ、共感、創造性、組織変革といった代替不可能な領域に注力できる。これは、クリエイティビティの発揮やイノベーションの実現を促進する大きなチャンスと言える。
そのために必要なのは、変革を後押しする環境整備だ。具体的には、規制緩和や人材市場の柔軟性向上、変革に適した組織設計、流動的なキャリア形成を支える人事制度の構築、多様性の推進、さらには変革を担える人材育成への投資などが挙げられた。
企業が今後求める人材は、挑戦意欲に富み、起業家精神を持ち、自らの強みを認識している人材。こうした人材が活躍できる土壌をつくり、テクノロジーの導入・活用を加速させることが、日本企業の競争力向上と日本経済の持続的な繁栄につながっていく。 経営として解決すべき課題と、これから進むべき方向性を確認し合うセッションとなった。
「攻めの変革」に必要なものとは? 経営層が徹底議論
この後も、注目のセッションが続く。
「クロストレプレナー(共創起業家)の魅力 ~大企業が磨き上げる共創イノベーション~」をテーマとしたセッションには、ヤンマーマルシェ 代表取締役社長 山岡照幸氏、三菱地所株式会社 イノベーション施設運営部長の島田映子氏、NTTドコモビジネス 統合マーケティング部長 OPEN HUB for Smart World 代表の戸松 正剛氏が登壇。
また、「AI・テクノロジーで市場を創造~日本を動かすリーダーの挑戦~」をテーマとしたセッションには、三井住友フィナンシャルグループ 執行役社長グループ CEO 中島達氏、東芝 代表取締役 社長執行役員 CEOの島田太郎氏が登壇。
そして、「AIと共創する、事業を変える“攻め”のDX」をテーマとしたセッションには、日清食品ホールディングス 執行役員 CIOの成田敏博氏、花王 執行役員 デジタル戦略部門データインテリジェンスセンター長の浦本直彦氏、三井化学 常務執行役員 CDO デジタルトランスフォーメーション推進本部長の三瓶雅夫氏が登壇する。
3回目の開催を迎えた今回のXplorersのテーマは「さぁ、攻めの変革をはじめよう。」。様々な障壁を超え、多くのステークホルダーを巻き込みながら変革を力強く推進するリーダーたちの言葉から、刺激とヒントを得る一日になる。