ナノベーションが主催する次世代マーケティングリーダー育成プログラム「Rising Academy powered by ノバセル」(第1期ライジングアカデミー)が9月、盛況のうちに幕を閉じた。
第1期ライジングアカデミーは2024年11月から2025年9月まで全16回の講義を開催。受講生は毎回の講義後にレポートを提出し、講師がその中から優秀者「ライジングスター」を選出した。
その結果、全16回のうち最も多い4回でライジングスターに選ばれたオプト アドパフォーマンスプランニング室の鎌田夏芽氏が「トップライジングスター」を獲得した。
鎌田氏はこのほどアジェンダノート編集部の取材に応じ、全てのプログラムを終えての率直な感想やこれから目指すマーケター像などについて語った。また、推薦者(派遣責任者)であるオプト プラットフォームサクセス本部 専門役員の野嶋友博氏には、鎌田氏の受講が本人や会社にどういう影響を与えたかなどを聞いた。
トップライジングスターに輝いた鎌田夏芽氏。副賞として、講師を務めたポーラ 代表取締役社長の小林琢磨氏から「リンクルショット」、小林製薬 新規事業準備室 兼 広告販促部 戦略スタッフの大槻開氏から「頭スッキリ・リラックスグッズ」が贈られた。
第1期ライジングアカデミーは2024年11月から2025年9月まで全16回の講義を開催。受講生は毎回の講義後にレポートを提出し、講師がその中から優秀者「ライジングスター」を選出した。
その結果、全16回のうち最も多い4回でライジングスターに選ばれたオプト アドパフォーマンスプランニング室の鎌田夏芽氏が「トップライジングスター」を獲得した。
鎌田氏はこのほどアジェンダノート編集部の取材に応じ、全てのプログラムを終えての率直な感想やこれから目指すマーケター像などについて語った。また、推薦者(派遣責任者)であるオプト プラットフォームサクセス本部 専門役員の野嶋友博氏には、鎌田氏の受講が本人や会社にどういう影響を与えたかなどを聞いた。
トップライジングスターに輝いた鎌田夏芽氏。副賞として、講師を務めたポーラ 代表取締役社長の小林琢磨氏から「リンクルショット」、小林製薬 新規事業準備室 兼 広告販促部 戦略スタッフの大槻開氏から「頭スッキリ・リラックスグッズ」が贈られた。「戦略やマーケティングを身につけたい」という思い
ーーまずは、トップライジングスターに選ばれた率直な感想をお聞かせいただけますか。
鎌田 率直にうれしいです。特に賞を狙っていたわけではありませんでしたが、自分の学びを言語化したレポートを評価いただけたことは、講義内容をしっかりと吸収できた証しだと思います。そのような意味でも、すごくうれしかったですね。
ーーそもそもどのようなきっかけでライジングアカデミーを受講したのでしょうか。
鎌田 ライジングアカデミー自体は、上司が社内チャットで共有していたのを見て知りました。私はこれまで広告運用に携わってきましたが、お客さまや上司の野嶋と話す中で、「戦略やマーケティングを身につけたい」と強く感じるようになりました。ただ、自分で独自にインプットするだけでは知識が偏ってしまいます。全く違う領域で活躍されている方々から講義を受けられる点に魅力を感じ、応募しました。
ーー普段は、具体的にどのようなお仕事をされていますか。
鎌田 インターネット広告代理店で、プランニングを担当しています。コンペや自主提案の場において、お客さまの課題解決や目標達成のため、「何をすべきなのか」を考え、Who・What・Howの視点で整理し、具体的な施策に落とし込むことが主な役割です。
これまでに携わってきた業界は、保険やEC、マッチングアプリ、ライブ配信、スマホゲームなど多岐にわたります。業務範囲も幅広く、制作物のディレクションといったクリエイティブ制作にも携わりますし、お客さまとの取引開始から立ち上げ、そしてPDCAを回すところまで、半年から1年ほど伴走することもあります。
「自分が一番吸収するんだ」と思って受講
ーー実際に講義を受けてみて、印象に残っていることは何ですか。
鎌田 一番衝撃を受けたのは、ノバセル 田中大地さんの「クリエイティブ」の講義です。特に「アイデアは2案で出すべきだ」というお話が印象的でした。マーケターの思いや戦略を忠実に守った「A案」と、あえて属人的な感性を突き詰めてに尖らせた「B案」。この2つで交渉することで、安定的に成果を出しつつ、拡大もできるようになるというお話しは、私にとって新しい発見でした。
これまで私は、A案のようなロジックで積み上げたものを考えるということはやってきました。しかし、B案のように属人的に尖る、つまり「自分の好きなもの」や「感性」を取り入れて、こんなに成果を出している人がいる。お客さまの課題解決につながるなら、仕事の場でも自己表現をしてもいいんだと気づき、世界が一気に広がった感覚がありました。仕事がもっと楽しくなりそうだと、ワクワクしました。
また、普段から本や記事で勉強していますが、知識を体系的に理解できても、次の日からすぐに行動を変えられるかというと難しかったりします。しかし、ライジングアカデミーでは、講師の方々がそのアイデアの発想方法や、意思決定に至るまでのプロセスも含めてお話いただけるので、再現性が非常に高いです。例えば、ノバセルの田中さんは「A案はAIを使って最短でつくり、B案は自分の知識や周囲の力を活用してつくる」という具体的な手法までおっしゃっていて、すぐに真似できると感じました。
ほかにも、「ブランディング」がテーマのTENTIAL 杉野恵美さんや資生堂ジャパン 清水明子さん、「キャリア」がテーマのノバセル 田部正樹さん、そして最終回の「広報・PR」がテーマのサニーサイドアップ 岩崎真之介さんの講義もすごく面白かったです。
ーー鎌田さんはライジングスターに4回選ばれましたが、講義を受けるときや、講義後にレポートを書くときに、どのような意識を持って取り組んでいましたか。
鎌田 アカデミー受講者の中には議論が巧みな方もいて、最初は少し気後れすることもありました。でも途中からは「現時点の実力差よりも、これからの『成長角度』で誰よりも上回ろう」と気持ちを切り替え、とにかく受講生の中で自分が一番吸収するんだという気持ちで、能動的に積極的に講義を受けていました。
レポートは、明日からの自分の行動をどう変えるかまで落とし込んで書くことを徹底しました。
レポートは「講義の要約」と「学び」の2構成でしたが、最初はその違いや境界線が曖昧でした。がしかし途中から明確に書き分けるようにしたのです。
「要約」は講義の要点を論理立てて整理するもの。対して「学び」は自分が何を一番吸収したのかを書く。単なる感想で終わらせず、「この知識を得たことで、自分の行動がどう変えられるのか」を毎回言語化する。そうすることで、知識が定着しますし、結果として評価にもつながったのではないかと思います。
ーー実際に行動は変えられましたか。
鎌田 先ほどお話ししたアイデアを2案出すという手法はさっそく試してみました。また、田中さんの講義では「クリエイティブディレクターとのコミュニケーション術」のお話もあり、それを受けて実際にコミュニケーションを変えています。レポートで言語化したことは実践しようと決めて取り組んでいたため、結果的に多くの学びを実務に落とし込むことができたと感じています。
卒業プログラム「自由度が高く、非常に難しかった」
ーーカリキュラムの終盤に取り組んだ卒業プログラムについてお伺いします。課題の内容や難易度はどうでしたか。
鎌田 課題は「『伊藤園の野菜飲料』の飲用率を30%に上げる」というものでした。自由度が高く、非常に難しかったというのが率直な感想です。私は、これまでプロモーション領域に主に携わってきたため、流通や価格といった戦略全体を設計した経験が乏しく、最初はどこから考えればいいのかすら分かりませんでした。ライジングアカデミーで多くのフレームワークを学んだはずなのに、どのように組み合わせて使いこなせばいいかも分かりませんでした。
それでも、チームには多様なキャリアや経験を積んでこられたメンバーがいました。オフラインも含めて10回ほど議論を重ね、お互いの知見を出し合いながらなんとか形にしました。その結果、最終審査の5チームに選出され、「実現可能賞」をいただくことができました。
ーー審査員からは、どのようなフィードバックがありましたか。
鎌田 既存のプロモーションと大差はなく、新しくはないというフィードバックをいただきました。言われてみれば、その通りだと痛感しました。ノバセル 田中さんの講義であれほど「属人的で尖ったアイデア」の重要性を学んだのに、いざ実践となると、アイデアはたくさん出せても、それを全体の戦略にうまく落とし込むことができなかった。「接続」の難しさと悔しさを味わいました。
また、資生堂 清水さんが講義の中で、その施策が良いか、進めるべきかの判断は、過去の事例に照らし合わせて考えるのではなく、「オセロの端と端が揃い、盤面が一気に黒に返る感覚」、つまり「これしかない」という感覚を持てたときだとおっしゃっていました。そのピタッとハマる感覚を持てないまま、時間切れになってしまった。そんな不完全燃焼な思いも残りました。
目指すべきマーケター像が明確になった
――ライジングアカデミーで学んだ内容は、実際の業務のどのような場面で生きましたか。
鎌田 まずはAIの活用です。講義でAIへのプロンプトの出し方を学んだ次の日には、さっそく実務に取り入れました。たとえば、あるお題に対して、「A対Bでディスカッションしてください」とAIにプロンプトを入れ、議論させる手法です。これを活用することで、商談時にお客さまからどのような質問がくるか、それに対してどう回答すべきかが想定できるようになり、精度が格段に上がりました。
また、ノバセル 田部さんや資生堂 清水さんの講義で特に感じたのですが、キャリアの考え方はとても参考になりました。田部さんは、社会人1年目から何を学んで何をやってきたのか、具体的に話してくださったので、今の自分と照らし合わせることで「自分のキャリアはいまどの位置にあるのか」を客観視することができました。
清水さんの講義では、「ブランディング」への興味が湧きました。私はいま、成果に直結する「ダイレクト広告」を中心に手掛けていますが、今後はブランディング領域の知見も深め、マーケターとしての幅を広げたいと考えるようになりました。
このように、各講義の要所要所で自分に刺さったポイントが、日々の業務や将来の指針に生きている実感があります。
ーーライジングアカデミーを終えて、新たに発見したご自身の課題はありますか。
鎌田 ライジングアカデミーでの学びが多かったからこそ、これからも自分の仕事の外にある学びに触れ続ける必要性を感じました。これまでも、通勤中に気になった事例を見たり、広告を逆分析したりしていましたが、実際にその事例をつくった人の「生きた言葉」を受け取ることによって得られる学びは全く違います。ですので、今後も社外の人との関係づくりを含め、外からの学びを得ることは継続していかなければならないと思っています。
ーー緒にライジングアカデミーを受けた同期からも刺激を受けましたか。
鎌田 はい、大きな刺激になりました。特に、卒業課題で最終審査に残ったチームの発表は、思考の整理から施策(How)への落とし込みが秀逸で、自分にはその発想はなかったと感嘆させられる場面が多々ありました。普段は社外の同世代のアウトプットを見る機会が少ないので、ここまでできる人がいるんだという事実を知れたことは、自分の現在地を客観的に知るという意味でも大きな刺激になりました。
また、オフラインミーティングや飲み会の帰り道に何気なく同期と話しながら、事業会社(ブランド)側の抱える事情やリアルな悩みを聞けたことも良かったです。それは同じ業界の方と話しているだけでは気づけないことですし、それを踏まえて、広告代理店として事業会社さんとの向き合い方や提案のスタンスも変わった気がします。
ーー今後、どのようなキャリアを目指したいと思っていますか。
鎌田 ノバセル 田部さんや田中さん、資生堂 清水さんの話を聞いて「かっこいいな」と憧れました。目標は「この案件の担当が私で良かった」とクライアントやチームメンバーに思ってもらえる存在になることです。成果を出すことはもちろん、「裏付けのある自信」を持ったマーケターになりたいと、このライジングアカデミーを通して強く思うようになりました。
社内レポートが、チーム全体に新たな気づきと視点をもたらした
ーー鎌田さんの上司である野嶋さんにお伺いします。ライジングアカデミーの受講前後で、鎌田さんに変化はありましたか。
野嶋 鎌田さんはもともと、日々のあらゆる出来事を学びに変えて仕事に生かせるタイプなので、正直なところ、「ここが劇的に変わった」と変化を特定するのは難しいです。ただ、明確な変化として挙げられるのは、ノバセルさんの講義の直後から実践していた「2案を考える試行」です。すぐに実践する姿勢には感心しました。私自身も鎌田さんからその重要性を改めて学ばせてもらいました。
また、毎回の講義後に、社内チャットで詳細なレポートを共有してくれていたのですが、それを若手メンバーを含めてチーム全員が目にしていました。彼女個人の学びにとどまらず、チーム全体に新たな気づきや視点をもたらしてくれた点は非常に大きかったですね。
ーー鎌田さんがライジングアカデミーを受講したことによって、御社にどういう影響がありましたか。
野嶋 最大の影響は、次期(第2期)ライジングアカデミーのスポンサーになったことですね(笑)。鎌田さんが単に参加するだけでなく、そこでしっかりと結果を残し、その学びを組織に還元してくれた。その姿を見て、このプログラムの価値を確信したことが投資を決意したひとつの理由です。自社だけでなく、業界全体のマーケターにとって礎となるものを共につくれればと思っています。
また、オプトがこうしたプログラムに協賛することによって、お客さまからは期待の目が向けられるようになります。それが良い意味でプレッシャーとなり、組織全体の基準が引き上げられることを期待しています。




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