講師を務めたBuySell Technologiesの田中奏真氏

 マーケティング専門Webメディア「Agenda note」が主催する次世代マーケティングリーダー育成プログラムRising Academy powered by ノバセル」(以下、ライジングアカデミー)が7月22日夜、東京都渋谷区のナノベーション東京本社で開催された。

 講師を務めたのは、リユース大手 BuySell Technologies(バイセルテクノロジーズ) 執行役員 マーケティング統括本部 本部長の田中奏真氏。「デジタルプロモーションで失敗しないための“越境”の思考法」をテーマに、これまで培ってきたデジタルプロモーションの考え方を講義とワークショップを通して受講生に伝えた。
 

個人ワークで実践力を磨く


 この日のアカデミーで田中氏が力を入れたのが、実践力を磨くための個人ワークだった。

 田中氏は大学卒業後、2006年にエン・ジャパンに入社。マーケティング部長や執行役員を歴任し、70人規模のマーケティング組織を牽引。2025年7月にBuySell Technologiesに入社し、執行役員 マーケティング統括本部 本部長に就いた。

 田中氏は講義の中で「デジタルプロモーションの最大の強みはパーソナライズ」と説明した上で「顧客インサイトを分解し、そのインサイトに合ったコンテンツを用意できれば、必ず成果は出る」と強調した。

 これを踏まえ、個人ワークでは「(就職活動の)面接で合格できなくて困っている人にどんなサービスがあればいい?」「自宅にある着物を出張買取で売りたい人は、なぜ店舗買取を使わない?」など計3つの課題を次々に出題。受講生は頭を悩ませながらも自分なりの答えを導き出していた。

 受講生から多くのアイデアが出たことを受け、田中氏はデジタルプロモーションの施策を実行する上で、顧客の気持ちになり切ることの重要性や、自分が考えたアイデアを見込み顧客に提示して検証する必要性などを説いた。

 2024年11月に開講した第1期ライジングアカデミーは残り4回。「CRM」と「広報・PR」のテーマで2回ずつ予定されている。このほか、受講生はこれまで学んできたことを生かし、伊藤園の野菜飲料に対して実践的なマーケティング戦略を立案するという「卒業プログラム」に取り組んでいる。
  
個人ワークに真剣な表情で取り組む受講生
  
個人ワークの前にはグループワークも行われ、活発な議論が交わされた
【第2期ライジングアカデミー】公式サイトはこちら  

次回「CRM」はエムアイフードスタイル 小森正詩氏が講義

 
株式会社エムアイフードスタイル
総務本部長 執行役員

 神戸大学卒業後、伊勢丹に総合職として入社。百貨店の雑貨、食品領域のバイヤー、販売責任者を経験。2011年からは経営企画職に従事し、年次予算の策定や中期経営計画の策定に携わる。また、ビジネスにおける成長戦略の策定や新規事業の育成にも取り組み、直近では、事業会社のマーケティング部門に所属し、顧客の識別化や優良顧客化の仕組みを推進。

 次回の8月6日は、エムアイフードスタイル 総務本部長 執行役員の小森正詩氏が「 “選ばれ続ける” ためのCRM──記憶に残る顧客体験のつくり方」をテーマに講義する。

 本講義では、伊勢丹やAmazon、スターバックスなどの事例を通して、CRMの構造と実践的な考え方を学ぶ。顧客にとって“忘れられない存在”になるために、データ活用・UX設計・現場での体験をどう設計すべきかを考察。自社ブランドに置き換えたCRM設計のディスカッションも交え、実務への応用力を養う。