こんまりがカンヌライオンズに登壇した価値とは?
——こんまりさんがカンヌライオンズに登壇した価値について、本田さんはどのようにお考えですか。
本当に大きな価値があることだと思っています。何しろカンヌライオンズへの登壇は、絶対にお金で買えないですし、本当に世界最高峰の価値があると認められないと実現できないわけですから。
カンヌライオンズに集まる1万6000人は、各国を代表するクリエイターやCMO(チーフマーケティングオフィサー)ですよね。世界中のコミュニケーションを担っている人たちです。そして、その人たちが各国でマーケティングして市場をつくっている。言わば、ビジネスにおける「インフルエンサーの集まり」です。
世界的な潮流からすると、日本はビハインド、勢いでは中国はじめ他国に負けていますよね。その中で、日本だからこその価値で勝負して、評価されたことはすごく誇らしいです。
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——ちなみに、本田さんが2015年にカンヌライオンズで行った講演も好評だったと聞きました。現地で日本人のセッションが評価されるためのポイントは、ありますか。
日本のクリエイティビティの秘密を解説した「OPENING THE KIMONO ON KILLER JAPANESE CRETIVITY」と題したステージでしたね。いくつかポイントがあります。まずは、日本で評価された講演をそのまま翻訳するだけでは、絶対にダメだということです。
その上で大事なのは、「すごい成果を出した」という結果だけではなく、その裏側にある「フレームワーク」をしっかり説明することです。海外での講演は、再現性と普遍性が説明されていないとまったく評価されません。
それからテクニック論ですが、ストーリーの中にスピーカーの「パーソナルストーリー」を盛り込むことも大切です。日本のビジネスパーソンは、講演中に自分の家族の話をしないのですが、世界のトップマーケターやクリエイターこそ自分の子どもや家族の話を最初や最後に盛り込んでいます。それが人となりへの共感を呼び、信頼につながるのです。
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来年も、こんまりさんやHIROさんに続いて、カンヌライオンズで登壇して評価される日本人スピーカーが現れてほしいなと思っています。