五輪チケットから見えた「充たされていない欲求」
私たちデコムは、「家族」が含まれるソーシャルデータを精査した結果、家族のみんなが「協力し合い、目標に向かって一致団結する感じ」を求めているのに、普段の生活で充たされていないのではないか?という仮説を立てました。
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言い換えると、オリンピックのチケットを家族分申し込んだのは、家族を巻き込んで「オリンピックチケットの抽選に当選するために家族が協力し合う(例えば、奥さんのIDも発行してチケットを申し込んだりする、全て当選したら数十万だから家族会議を開くことを想定するなど)」ことで、普段は充たされていない欲求を充たしている、良い口実になったのではないでしょうか。
代表の大松は子どもの頃、台風による被害を少しでも食い止めるために、家中の大片づけをする家族の「一致団結した雰囲気」が好きだったそうです。松本も年末に除夜の鐘をつくために家族総出で近くの寺に行く道中は「家族やっている感」がフツフツと涌き出てきて、興奮してしまった経験があります。
「協力し合い、目標に向かって一致団結する感じ」を定量的に確認できるか、さっそく家族に関する様々な定量調査を調べてみました。
内閣府の「平成29年版 子供・若者白書」によると「家庭」を自分の居場所だと答えた若者は全体の約8割もいると分かりました。
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また、つながりの強さに目を向けると、全ての項目で「家族」が1位を占め、多くの若者にとって家族が「特別な関係」であることが分かります。自分の喜怒哀楽を表現できる対象の代表が家族であり、だからこそ強いつながり(≒団結)を感じられるのだと思います。
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一方で、NRIによる「第8回 生活者1万人アンケート調査」では、生活価値観に変化が見られ、世帯内個人志向が強まり、みんな自立してそれぞれが楽しむ生活価値観が重視され始めていると分かりました。
さらに、農林中央金庫の調査「現代高校生の食生活 家族で育む『食』」では「孤食化」が進み、約4人に1人の子供が朝ご飯や夕ご飯を1人で食べています。
家族で協力し合って繋がりは感じたいけど、みんなそれぞれ違って良いから、みんなが共感できる大きなテーマじゃないと盛り上がれない。だからこそ東京オリンピックのチケット抽選は盛り上がれたのではないかと推察しています。