生成AIを活用して分かったコミュニケーションのポイント
――お二人がコミュニケーションやマーケティングにおいて、重要視しているポイントはなんでしょうか。
山中 私はこれまでauやUQブランドのコミュニケーション戦略やクリエイティブ制作、全体のKPI(重要業績評価指標)の方針をつくってきました。最近では、お客さまのインサイトを捉えた双方向のコミュニケーションを強化しています。
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その中で一番重要だと思うことは、「お客さまの記憶にどう残せるか」ということです。生成AIを活用することで一部の層にはそれが響くかもしれませんが、万人に受けるわけではありません。当社が掲げる「お客さまに一番身近に感じてもらえる会社」を実現するためには、どのような変換が必要なのかを考えるべきです。これがコミュニケーションのポイントだと思います。
合澤 私はプロダクトに携わってから、6年ほど前にマーケティングの部署に移動して、メディアやデジタル広告の経験を積みました。現在は、コミュニケーションデザイン部の部長として、auとUQブランドの下にあるさまざまなサービスのプロモーション全般を統括しています。
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そうした経験を経て思うのは、お客さまとの並走が大切だということです。よくマーケティングの世界では「勝ちパターン」という言葉がありますが、多くの勝ちパターンはそれほど長くは通用しません。変化する時代の中では、失敗を恐れずにトライアンドエラーをし続けるマインドが重要です。それによって新しいクリエイティブやテクノロジーをキャッチアップしていくことができると思います。
―― 今後のマーケティング施策や展開など、可能な範囲で教えてください。
山中 今回展開したような、生成AIを使ったお客さまの体験型コンテンツには、継続的に取り組みたいと考えています。AIは業務プロセスの改善といったBtoBの領域での活用が目立つ中で、今回のようなBtoC領域での活用は世の中的にも新しい取り組みだったと思います。生成AIを活用して、お客さまの体験価値につなげるコンテンツやサービスにせっかくチャレンジできたので、今後も「おもしろい」と言ってもらえるような挑戦を続けたいですね。
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合澤 今回、活用した生成AIを含めて、世の中には便利なテクノロジーが次々と出てきていますが、新しいものや一見難しいと思われるものをお客さまにわかりやすく届けることも、当社がコミュニケーションを通じて実現できることだと思います。今後、auがそういった役割を担えたらと思っています。
たとえば、当社では昨年から金融の新しいサービスを始めました。「金融」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、お客さまが将来のために貯蓄や投資でお金やポイントなどの資産を形成する「マネ活」をサポートします。そういったわかりやすさや身近さを伝えることもコミュニケーションデザイン部のミッションだと思っているので、今後も少し先の未来をお客さまに届けることを追求していきたいです。
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