SHEINの商品生産を支える広州市場
SHEINのサプライチェーン拠点は広州市の番禺区(バンユー)にあり、そこから車で2時間以内に2000社の協力工場がある。協力工場がサプライチェーンの近くに集中することで、商品生産の引き合い、デザインの確認、商品の発注から生地などの原材料の管理、生産工程、納品までのプロセスは、SHEINが開発した高度なサプライチェーンシステムで可視化され管理されている。
また、広州市には東京ドーム12個分規模の現物在庫をかかえる中国最大級の生地及び付属市場が存在する。この市場がSHEINの巨大なサプライチェーンを支えているのだ。
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圧倒的に時間とコストを削減するSHEINの物流
筆者がSHEINで、Tシャツとパンツを頼んだところわずか5日で商品が家に届いた。商品は2点で2200円なのに送料は無料だった。
SHEINの物流センターは、広州市の隣の佛山にある。おそらく広州市の番禺区で生産された商品は、メーカーの車で佛山物流センターに運び込まれる。
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注文日からわずか5日で配達ということは航空便を使っている。広州市国際空港から羽田空港へ送られた商品は、ヤマトのクロノゲートという物流センターに運び込まれ、そこから配達店に輸送されたと思われる。
この際、SHEINは個人輸入という立て付けで出荷しているため、関税がかからない。日本の場合、1万6666円までは、アメリカは$800までは無税となっている。
SHEINの物流は、センターから直接航空便で、しかも無税で届くのだ。これに対し、日本のアパレルは検品工場から港に輸送、関税を払って日本の港、さらにアパレル企業の物流センターに入り、そこから店舗や個人宅に発送される。SHEINのサプライチェーンは圧倒的にコストと時間を削減できるスキームといえる。