「おもてなし」を世界へ届ける接客AIエージェントへ


 ZEALS AI Agent導入の第一歩として渡邊氏が推奨するのは、LINEへの導入だ。その理由について「最もAIエージェントとお客さまの会話データが蓄積されるプラットフォームであるためだ」と説明する。多くの企業が持つLINE公式アカウントには、月間数十から数千の問い合わせがあり、現状では十分に対応しきれていない「お宝」が眠っていると渡邊氏は述べる。

 ZEALS AI Agentでは、導入の障壁を下げるために既存のLINE管理ツールとの併存が可能な設計になっており、LINEのリッチメニューなどを通じて、ZEALSのAIエージェントを「間借り」させる形で実装できる。費用面でも月間数千円から数万円レベルで始められ、初期費用も不要とのことだ。
  

 「スタートアップである私たちが、なぜここまでハードルを下げてサービスを提供するか。その理由は明快です。DX(デジタルトランスフォーメーション)の波に乗り遅れた日本企業は、世界と大きな差をつけられました。この悔しい経験を、次に来るAI時代では繰り返させたくない。今度こそ、日本発の力で世界と正面から勝負したい。『慎重に検討しているうちにチャンスを逃す』――そんな事態を避けるため、私たちはすぐに始められるパッケージをご用意しました。まず行動し、実績を積むことが何より重要だからです。目指すのは、エンドユーザーに最高のAI接客体験を届け、日本ならではの"おもてなし"を広げること。ともに一歩を踏み出し、AIの未来を切り拓きましょう」(渡邊氏)

 渡邊氏はプレゼンテーションの最後に、ZEALSが米国で開発した「Omakase.ai」を紹介。これは、Webサイトに組み込めるAIエージェントになる。対象となるブランドやサービスのサイトURLをコピー&ペーストで入力するだけで、数秒から十数秒で原型となる接客AIエージェントが生成できるサービスである。
  

 従来のWebチャットはシナリオ作成に手間とコストがかかっていたが、「Omakase.ai」では数秒でサイトの情報を読み込み、AIが使えるようなデータベースに整理して、そのデータを使って高品質なAIエージェントが用意できる。エラー対応や画像変更、エージェントの性格調整といったカスタマイズも管理画面で簡単にでき、商品追加や会話バリエーションの拡張もデータ追加で実現できる。

 2025年1月半ばのリリースから約2カ月で、世界中で5000以上のAIエージェントが作成され、プロダクトのランキングサイト「Product Hunt」でも上位に長期間ランクインした。また、ドバイの大手通販企業のCIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)に評価されるなど、ワールドワイドで注目を集めているという。

 最後に、渡邊氏は「日本ならではの高品質な接客体験をデジタル化すれば、世界で戦えると私は確信しています。デジタル領域では、世界と戦えるカテゴリーが少ない中、日本の強みである『おもてなし』を、AIエージェントで世界に届けたいのです。『おもてなし革命』は、顧客が「なるほど!」と納得する瞬間、ダイレクトアジェンダのテーマである『Aha! moment』の積み重ねで実現できると信じています。壮大なビジョンを持ちつつ、地道なアクションを重ね、皆さまと共にAIエージェントを磨いて、世界を席巻できるような『おもてなし』を共に実現したいと考えています」と語り、セッションを締めくくった。
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