この記事を執筆しているのは、カンヌライオンズ帰国直後の6月23日(月)の夕方です。毎年、その年の受賞作の気になるポイントを3つ挙げているのですが、今回は5つのポイントが頭に浮かんで来てしまいました。
第3回と第4回を含めて5つを紹介していくとして、今回は2つ目のポイントである「『それってユーモアなの?』なヒューモア事例」と実際の受賞事例についてご紹介しましょう。帰国直後でまだ事例の詳細は調べ切れていない部分もあるので、あくまでも僕が把握している範囲内でのご紹介となります。
第3回と第4回を含めて5つを紹介していくとして、今回は2つ目のポイントである「『それってユーモアなの?』なヒューモア事例」と実際の受賞事例についてご紹介しましょう。帰国直後でまだ事例の詳細は調べ切れていない部分もあるので、あくまでも僕が把握している範囲内でのご紹介となります。
事例ビデオや事例ボードが見られるベースメント(地下)、そのいちばん奥にあるカフェ。会期中にサクッとランチをしたりお茶をするのに便利!
インド鉄道の「宝くじ乗車券」にみられた“ヒューモア”
前回の速報記事では、ポイントの1つ目として「難題に広告的機知で一矢!」を挙げました。今回ご紹介するポイントの2つ目は「『それってユーモアなの?』なヒューモア事例」です。(なお、紹介する事例は、僕が挙げるポイントの1つだけではなく、いくつかにまたがって具現化している例も少なくないのでご承知おきください)
その典型的な事例は、インド鉄道による「Lucky Yatra(宝くじ乗車券)」です。この事例は、PR部門グランプリ他を受賞しました。
インド鉄道は、インドの国有鉄道。ムンバイ地区では、毎日750万人もの帰宅客で混雑します。しかしその大部分の人が無賃乗車で、数が多過ぎて乗車券の検札もままならず、インド鉄道は多額の損失を計上していました。一方でインド人は宝くじが大好きで、毎年280億ドル(4兆円以上)ものお金が使われているそうです。
そこで!インド鉄道は、乗車券すべてを宝くじ化しました。もともとすべての乗車券には番号が振られていて、その番号で、毎日1枚に10,000ルピー(約17,000円)、毎週1枚に50,000ルピー(約85,000円)の現金が当たるのです。人々はこぞって乗車券を買い始め、インド鉄道は多額の損金を回収できたといいます。
事前申し込みで参加できるワークショップも会場内にて。
昨年2024年から、カンヌライオンズでは再び「ユーモア」に焦点が当てられているのですが、この事例はユーモアなのでしょうか? ユーモアとはちょっと違う、と感じられる日本の方も多いのではないでしょうか。
僕は「ヒューモア(Humor)」に溢れた事例だと思います。片仮名で「ユーモア」というと、どうしても“お笑い芸人的”な笑いをもたらすものを思い浮かべてしまいます。しかし英語のヒューモアはもう少し広い意味で、日本でいうところのウィット(前回、第1のポイントとして取り上げた“機知”を含む)に近いものまでが範囲内だと言えます。
インド鉄道のこの事例も、そういう意味で、ユーモアとは言いにくいかもしれないけれど、ヒューモア溢れる事例ではあるでしょう。