人にフォーカスした独自のポジショニング「ダブル(分身)」


▶︎その独自のポジションを示したのが、新しいキャンペーン「Double Your Impact」ですね。キャンペーンに対する市場の反応はいかがでしょうか?

「Double Your Impact」は、CIO(Chief Information Officer)に向けてメッセージを発信するキャンペーンです。根底にあるのは、CIOが日々直面している現実を理解し、共感したいとの思いです。

 現代のCIOは、日々のIT運用を円滑に遂行すると同時に、将来を見据えた変革を推進する役割も求められています。つまり2人分の仕事をしているのと同じことです。今日だけでなく未来に目を向けながら、いかにバランスをとって仕事を進めていくかが問われています。

 こうした状況を背景に、他社とは異なるポジションを確立するため、「ダブル(分身)」というコンセプトでキャンペーンのクリエイティブをつくり上げました。「自分の分身がいて、もし仕事の一部を担ってもらえたら…」と思ったことがある方は多いのではないでしょうか。キンドリルがもう一人の分身のように協業することで、「Double Your Impact(ビジネスインパクトを2倍に)」を実現しようというメッセージを発信しました。
 
Double Your Impact with Kyndryl

 このキャンペーンにも、ブランド構築の過程で一貫して大事にしてきた「人を中心に置く」という原則が通底しています。「ダブル(分身)」というコンセプトは、お客様の声に耳を傾けることで生まれたものです。CIOの方々にお話を伺う中で、皆さんが「もう一人自分が欲しい」とおっしゃるのをよく耳にしていたことが、企画のヒントになりました。

 お客様が直面している現実にともに向き合い、ペイン(課題)に共感する。私たちが、CIOの方々の立場を理解していることが伝わったことで、キャンペーンのパフォーマンスは過去最高を記録しました。
   Double Your Impactのビジュアルの一例。撮影には、本物の双子をキャスティングした。生成AIを使ってつくり出したビジュアルではないことも、「人中心」の原則の現れだ。
  

▶︎キンドリルにとって、北米に次ぐ2番目に大きな市場が日本であり、日本法人は本社と近い機能を持っていると伺いました。日本においてブランディングやデジタルマーケティング、キャンペーン、アカウントベースドマーケティングなどを効果的に展開する上で、日本法人との連携の仕方について気をつけていることや、日本法人に期待していることはありますか?

 日本はグローバルにおいて特に重要な市場の一つですから、日本独自の要件に合わせてマーケティング組織を確立する必要がありました。グローバル発の取り組みを、日本の市場ニーズに合わせて適用し、定着させ、反復して、再現性を持たせていくためのサポートを厚くすることに加え、日本のマーケティング組織に積極的に投資し、リソースの確保・パフォーマンスの向上に努めています。加藤さん(キンドリルジャパン Vice President, CMO 加藤希尊氏)とは毎週コミュニケーションをとっており、日本の要件の共有、連携を深めています。

 日本のマーケティングチームには、アカウント(セールス)チームと密に連携して、アカウントベースドマーケティングを実行していくことを期待しています。キンドリルが貢献できる重要なアカウントを特定し、継続的に並走していく体制をつくってほしいのです。

 日本のマーケティングチームのメンバーには、セールスとタッグを組みながら「アカウントの中に入り込む」ことに挑戦してほしいと考えます。それぞれのアカウントを解像度高く理解し、アプローチすべきペルソナを特定してニーズを的確に捉え、テーラーメイドのサービスを提供し、ビジネス変革や事業成長という価値を提供する。これを実現し、自らマーケティングメッセージを着地させることができるマーケターになっていただきたいですね。
 

ソートリーダーシップで、非IT組織へのアプローチを強化


▶︎コンサルティング事業は現在、2桁成長と非常に好調で、今後さらに強化されると聞いています。マーケティングリーダーとして、どのようにビジネスに貢献していく予定ですか?

 2桁成長を遂げることができた今、次に重要となるのが、IT組織以外に対していかにリーチしていくかということです。というのも、企業におけるテクノロジー関連の意思決定者は多岐にわたっており、昨今は50%はIT組織が、残りの50%は非IT組織が担っているというデータもあります。

 こうした状況を踏まえ、私たちのマーケティングは、LOB(Line of Business:ライン部門、事業部門)にリーチできるよう進化させていく必要があると考えています。私たちが提供できる価値を各部門に合ったメッセージにして届け、高付加価値ソリューションを提供する戦略的パートナーとして捉えていただくことが重要です。

 その中で、昨今特に力を入れているのがソートリーダーシップ(特定の分野において革新的なアイデアや視点を発信し、その分野をリードすること)です。これまでソリューションパートナーとして接点のなかった多様なビジネスリーダーとつながり、会話を始めるきっかけをつくる狙いがあります。

 これまでに行った調査の中で、ビジネスリーダーの75%が「これまでに付き合いのなかった、ソートリーダーシップを発揮する人たちと会話をスタートさせるのが望ましい」と考えていることがわかりました。この声を踏まえ、キンドリルでは、ソートリーダーシップによってお客様との関係を構築・強化する「Kyndryl Institute(キンドリル・インスティトゥート)」(※注1)をスタートしました。技術・事業・学術など幅広い領域の外部有識者と連携して、お客様のアクションにつながるようなコンテンツを発信しています。

 人を中心に置いてビジネスを進めていくことは、これからの3年も、さらにその先の5年、10年、その先も変わることはありません。お客様や社員の声をヒントに、継続的にブランドを磨きながら、さらなる事業成長を実現していきます。

(※注1)「Kyndryl Institute(キンドリル・インスティトゥート)」
急速に変化するデジタル経済を背景に、経営陣にとって喫緊の課題となっている、AIの影響、規制、サイバーセキュリティ、ITのモダナイゼーションなどについて、多様な視点と実用的なインサイトを提供することを目的に設立。業界リーダー、スタートアップコミュニティ、市民社会、学術界から専門家の見解を深めることで、世界中の経営陣の戦略的意思決定を強化し、イノベーションを推進することを目指している。日本語対応も順次進行中。

  
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