ロジックとセンスを使い分けられる人が変化を起こせる


―― それは属人的なように見えますが、再現性はあるのでしょうか。

 あると思います。私の書籍の中では、自分が好きでやっている「自分モード」と、誰かのためにやっている「他人モード」と書いたんですけれども、僕が P&G で仕事をしていた時に、大きなブランドの転換を何度もできる人は他の人との違いをつくれる人。

 そういう人はロジックだけではないところで、そのブランドの可能性を見つけられる人でした。彼らはもちろん数字を見ていたけれど、自分の直感で勝ち筋も見えていたんだと思います。

 ロジックだけではダメで、センスが必要。そしてロジックとセンスを使い分けられる人でないと、ドラスティックな変化を起こすことはできない。これは多分、P&Gなどでクラシックなマーケティングをきちんと経験した人は、みんな分かっている話だと思います。



―― お話を伺っていると、マーケターに求められている能力が変わりそうです。

 そう思いますね。

 今後は、ユーザーを一段深く見ながらも自分の主観から仮説をつくり具体化して、広告会社やデザインファームなどに仮説をどんどんぶつけて、リアルタイムにプランニングして、検証していくようなカルチャーを持った人がリーダーとして君臨するんじゃないかと思っています。