「地方創生には、地場に根付いた仕事が必要になる。そして、その仕事が継続していくためには、マーケティングが鍵になる」。その考えのもと、近畿日本鉄道の能川一太氏は鉄道会社という立場で、近畿・東海エリアを中心にさまざまな仕掛けをつくってきた。本コラムでは、地方創生にマーケティングがどう役立つのか、自身の体験や地元企業へのインタビューを通して解説していく。
気づいたら「村長」でした
みなさん、はじめまして。近畿日本鉄道の能川一太です。初回なので、軽く自己紹介させてもらいます。大学では建築を専攻していました(理系です!)。そして近鉄に入社後、駅や駅ビル、ホテルや美術館などの設計や施工管理を担当していました。当時は、自分が携わった物件はできるだけ開業当初のまま、きれいに使って欲しいという思いから、後から商業看板やトイレの案内サインなどを極力、付けないで済むような立ち位置で仕事をしていました。
ところが、あるとき人事異動で宣伝担当になりました。いわゆる「文転」ですね。今度は、真逆に看板を付けて回る側になりました。当時、奈良で「平城遷都1300年祭」というイベントがあり、ゆるキャラの「せんとくん」を駅の天井から、ぶら下げたこともありました。もちろん看板などの交通広告だけではなく、「近鉄電車でお出かけしよう」というキャンペーンも行っていました。
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そして「しまかぜに乗って伊勢志摩へ」というキャンペーンを打っていたら、今度は自分が伊勢志摩へ単身赴任することに。3年半ほど「志摩スペイン村」で「村長(支配人)」を勤め、現在は大阪に戻って近鉄が経営するレジャー事業を担当しています
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