「なぜ買うのか?」を理解するために必要なこと
それは、すごく単純な話で、ユーザーに聞けばよい。大規模なアンケート調査を行なってユーザーを理解したと思い込んでしまうことがあるが、往々にして「なぜ買ったのか?」については明らかにならない場合が多い。
どのようにユーザーに聞くのかについては、ノウハウになるため、ここで詳述することはできないが、この「ユーザーに聞く」というプロセスは、思った以上の副産物を生むことが多い。
今まで“だろう”マーケティングと、思い込みコンテンツで勝負していた部門と、ユーザーに「なぜ?」と聞いてみるプロセスを一緒に経験してみると、彼らが見ていた「お得意先が言っているから」「社内事情があるから」という既成概念が払拭されて、我々と同じ目線で、真のユーザーを理解するようになる。
そうなれば、今までの「真のユーザー」ではないところからのリクエストや事情にフォーカスしていた頭が、真のユーザー理解に向かい、共通の軸でマーケティングを考え、判断できるようになる。これは時間と労力のかかる話ではあるのだが、遠回りに見えて一番の近道だと私は思う。

この「ユーザーを見る力」を教えるには、数ヶ月から半年くらいの時間はかかるが、これを自分のものにしたメンバーは、飛躍的に力を伸ばしてくれる。その成長ぶりを見るのも嬉しく、こうしたデジタル人材をどんどん社内で育成していきたいと考えている。
さて、最終回はやや取り止めのない話になったが、6回にわたり、デジタル人材育成の話を綴ってきた。
自分自身のこれまでの取り組みの思考をまとめる機会になったことはありがたく思っている。今回のシリーズが、みなさまの会社や団体の問題解決に、少しでもお役に立てていれば幸いである。
- 1
- 2