AIはクリエイターの敵なのか?
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次に、スピーカー・セッションの様子をお届けします。先述のように、今年はテーマが「HI」だったこともあり、AIに関する話題が非常に多く、以下のプログラムの中でも主題がAIに触れているものだけでも9つ(青枠の部分)のセッションがありました。
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「人」と「AI」を対立構造にみせるタイトルも多いですね。すべてカバーはできていませんが、「AI」と「HI」をもとに出てきたキーワードを分類してざっくりまとめると、大きく3つに分かれます。
① AIはクリエイターに取って代わることはない。AIをうまく採用する人がクリエイターに取って代わるのである。
「AIは人間の能力を拡張、加速させるもの」
「人間が創造し、AIが実現をする」
「AIは敵ではない。自分の創造性を拡張させる1つのツール」
② 「AIは私たちのために何をしてくれるのか?」と問うだけでなく、「AIを使って何ができるのか?」を問うべきである。
「AIを使ってクリエイターの時間を節約する」
「消費者の生活をより良くするためにAIを活用する」
③ AIでは実現できないこと。論理ではない人間的な部分にHIの真値がある。
「様々な人間的要素、想像力を加えること」
「AIにはなく人間が持っている欲求は、他の人と繋がること。他者を理解すること」
「願望は人間が持っている特権。AIは持てないもの」
「AIは怒れない。怒りがないとクリエイティビティは起きない」
全セッションのラストスピーカーであり、今回のアワードの審査員長でもある英国 チェイル・ワールドワイドのグローバル・チーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるマルコム・ポイントン氏の講演「BRANDS = FEELINGS」では、テクノロジーの進化と逆行し、マーケティングの効果は年々落ちている。そして感情に響くブランドは6.2倍も効果的であるというデータを提示しました。
その上で、「人間の感情という広告の核心に立ち返ろう」と問いかけ、「ブランドとは単なるロゴやスローガンではなく、人間の感情を具現化したものである」と話しました。
実は私がタイに向かう直前にも、生成AIがほぼテーマとなった「UIUXCAMP」というイベントで、ナビゲーターを丸1日務めていたので、正直もうお腹いっぱいだったりしたのですが、「AI」対「HI」といった表面的な対立の話ではなく、グローバルで活躍するクリエイターからの本質的な問いに触れらたことは、自分自身を見直す上でも大変よい機会でした。
ちなみに、アドフェストでは日本語の同時通訳が入りますので、英語に不安がある人でも安心です。
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会場で英語から日本語に同時通訳してくれるイヤホンガイド
※後編 人間の感情を動かすクリエイティブとは?「ADFEST 2024」受賞作品をリクルート CDの萩原幸也氏が解説 に続く
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