eCPMが1年で2倍に成長 購入完了後の「数秒」で成果を生むRokt Thanks


 近年、世界の小売企業は本業に加え、リテールメディアを通じた「付帯収益」の確保を進めている。たとえばウォルマートでは、リテールメディアが2024年の同社の利益の30%を占めるほどに伸び、一番の成長ドライバーになっていることが紹介された。

「昨年、Amazonは8兆円の広告費を獲得し、それらを値引きやサービスへの投資に充てています。これがAmazonのビジネスモデルであり、リテールメディアの神髄とも言えるでしょう。旅行やチケット、小売、フードデリバリー、ライドシェア、メディアといったさまざまの業界のトップ企業では、こうした付帯収益から得られる利益が従来の事業の利益を上回っています」(松田氏)。
  

 Roktが提供する「Rokt Thanks」は、こうした動きをより手軽に、リスク少なく実現できる選択肢として、日本のEC事業者に広がりつつある。Roktのサービスモデルは、EC事業者の保有する顧客データをRoktのAIが詳細に分析し、顧客一人ひとりに最も親和性の高い広告を表示する。

「EC事業者の皆さまがつくられたお客さまの顧客体験は阻害せずに、購入完了後に広告を表示します。導入が簡単でライセンス費用などもなく、リスクやコストもなく導入できるのが特徴です。プライバシーに配慮したプラットフォーム設計で、豊富な導入実績もあります」と松田氏は紹介。

 たとえばスポーツ用品を扱うゼビオでは、広告表示1000回あたりの収益(eCPM)が2024年は1万1000円、翌2025年には2万4800円と、約2.2倍に成長している。その背景には、AIの継続的な学習と最適化がある。「ナイキのハイエンドスニーカーを購入した川崎市在住の30代男性には、この広告が適合する」といった粒度の細かい学習データが蓄積され、マッチング精度が向上している。

「私たちは年間100億円以上をAIに投資し、エンジンを強化しています。これが高いパフォーマンスと導入事業者の収益最大化につながっています」(松田氏)
 

エンデミック vs ノンエンデミック広告 広告収益の差を生むカギとは


 松田氏は、リテールメディアの構造を「エンデミック広告」と「ノンエンデミック広告」の2種類に分けて説明。エンデミック広告は、ECサイトでの商品検索から購入までのプロセスの中で、自社が販売する商品やサービスをスポンサープロダクトとして紹介し、カートへの追加を促すものだ。多くの人がリテールメディアとして思い浮かべるのは、このエンデミック広告である。

 一方、Roktが支援するノンエンデミック広告は、購入完了後に表示され、自社では取り扱わない商品やサービスの広告だ。ECサイトのカートが空になり、追加購入の心理的ハードルが低いこの段階で、顧客の属性に合致した外部の広告を表示し、収益化を図る。この方式が、EC事業者にとって収益への貢献度が高い理由は、広告単価の違いにある。
  

「たとえば、ヨーグルト1個を販売する場合、商品単価が低いため広告にかけられるクリック単価も数円程度に抑える必要があります。一方、動画配信サービスの顧客を獲得するキャンペーンでは、単なる初回購入だけでなくLTV(顧客生涯価値)を見据えた投資が可能です。そのため、顧客獲得にかけられる広告単価は高くなります。このように、LTVの高い商品やサービスを対象とする広告では、より高い広告費を投じることができ、結果としてノンエンデミック広告の方が、媒体にとって高い収益をもたらす傾向があります」(松田氏)
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