CMOとして、「つなげること」を大切に


―― 今後のビジネス人生において、何を目指していますか。

 私はパナソニック コネクトの経営に携わる立場として、この会社が本当に強くて優しい会社になることを目指しています。

「強くて優しい」というのは、当社の社長の樋口がよく口にしている言葉で、「強い」という単語には、この先の未来に必要とされる強いビジネスをもつ会社になるという意図があります。そのために、「ポートフォリオ変革」や「オペレーション変革」に非常に注力しています。

 また、「優しい」という単語には、従業員にこの会社で働くことに意義があると本当に感じてもらえるような会社にするという思いを込めています。それに対しては、アップデートした人事制度やDEIへの取り組み、つまり「カルチャー変革」がとても大切だと考えています。そういう変革に本気で取り組みながら、日本企業として世界で通用する存在になりたいと思っています。

 マーケティングという軸では、顧客を中心にしてみんなをつなぐということを、どんどん拡げていきたいと考えています。というのも、私たちの会社は製造業からスタートしているので、どうしてもプロダクトアウトになってしまいがちだと思うのです。そうではなく、本当に「顧客価値を提供する」とはどういうことなのかを追求していきたいと思っています。

 Customer Obsession(顧客第一主義)が本当に実現できている会社は世界的に見ても限られています。そこまでの道のりは長いですが、私がそこに少しでも貢献することで、結果として「強くて優しい会社」をつくることに繋げられたら嬉しいと思っています。

―― 最後に、様々な会社で成果を出してこられた山口さんが、キャリアを振り返られて、ご自身の核としているものについて教えてください。

 私のこだわりは、オーセンティックなこと(本質的で、正しいこと)を実施することですね。繰り返しになりますが、やはり重要なポイントは、高い目的を達成するためにみんなを「つなげる」ことだと考えています。マーケティング組織だけで完遂できるプロジェクトは一つもありません。事業部やいろいろな部門とつながって一緒にやること、つながりたいと伝えることを大事にしています。

「私利私欲のためにやっていない」ということは言えると思います。自分のためではなく、組織のため、会社のため、社会のため、未来のため。そうした姿勢は口には出さなくとも、伝わると思うんです。私はフェアな場所をつくりたいと考えてこの会社にやってきたわけですが、それは「強くて優しい会社」をつくるという社長の思いとすごくつながっています。

 パナソニックは社会に影響力のある会社だと思うので、私たちが頑張って何かをするということが、社会にも影響を与えると考えています。それを意識して、私たちが全力で変革を起こしていくことで、結果として私が人生でずっと求めてきた本当にフェアな会社をつくり、ひいてはより良い社会の実現につなげたいと思っています。

 大それたことを言ってますよね、でも本気です(笑)。そのためには私のつながるチカラ、マーケターとしてのチカラを、常にアップデートし続けることが重要だと思っています。私自身が学び続けながら、そして、社内外の素晴らしい仲間の方々と連携しながら、一緒に「変革」を進めていきたいと思います。
  • 前のページ
  • 1
  • 2