日本広告審査機構(JARO)は7月10日、広告の苦情などに関する2024年度の審査状況を発表した。
JAROは広告や表示に関する民間の自主規制機関で、年間を通して多くの苦情や称賛、照会などが寄せられている。
24年度は全体の受付件数が1万796件(前年比99.3%)で、このうち苦情は8450件(同96.8%)と前年並み。称賛は28件(同147.4%)、照会は1727件(同112.8%)だった。
JAROによると、8450件の苦情のうち、広告主が特定できたものは7919件。苦情はごく一部の広告主に集中しており、その他の多くの広告主は数件程度だという。
全体として苦情の件数は前年並みで推移したが、性的な広告に対する苦情は705件(同189.0%)と急増した。
苦情件数を業種別でみると、1位はオンラインゲームの468件(前年比162.5%)、2位は電子書籍・ビデオ・音楽配信の406件(同155.0%)。性的・暴力的・猟奇的な表現への苦情が相次いだ。
具体的には「普通のサイトに、股間をあらわに腰を振る未成年と思われる少女の広告が出る。性加害を表現する広告を載せないようにしてもらいたい」(オンラインゲーム)、「スマートフォンでディズニー映画について調べていたところ、性的な漫画の広告が表示された。広告主へ不適切であると伝えてほしい」(電子コミック)といった声が寄せられた。
媒体別の苦情件数はネットが最多、特にオンラインゲームは急増
媒体別の苦情件数は、インターネットが4327件(前年比107.2%)で最も多く、テレビが3206件(同88.2%)、ラジオが282件(同83.4%)などと続いた。媒体別の上位は23年度と変わらずインターネット、テレビ、ラジオの順だった。
インターネットをさらに詳しくみると、オンラインゲームが428件(前年比222.9%)▽電子書籍・ビデオ・音楽配信が357件(同155.2%)▽医薬部外品が286件(同77.5%)▽医院・病院が260件(同185.7%)▽健康食品(保健機能食品以外)が197件(同129.6%)だった。
苦情を申し立てた人の年齢層は50代が2145人(男性1450人、女性695人)で最も多かった。10代からの苦情は全体的にみれば少ないが、オンラインゲームや電子書籍・ビデオ・音楽配信などが多く、猟奇的な内容や早口な人工音声などいずれも表現に対する苦情が目立った。
24年度に急増した性的な広告への苦情(705件)は、30代(182件)と50代(204件)が特に多かった。30代は女性が多く(138件)、50代は男性が多かった(140件)。
こうした苦情を受け、JAROは24年度、広告主へ685件の情報提供を行い、会員企業については専用ページを通して1562件の情報提供をしたという。