事業成長に向けて未来を共創する「マーケティング万博」をテーマに、関西を中心としてトップマーケターが集結するカンファレンス「ネプラス・ユー2025」(主催:ナノベーション)が7月16~17日、大阪市中央公会堂で開催された。
2日目のオープニングキーノートでは、「サラヤと青木松風庵 関西企業2社の伝統と革新に学ぶ 事業成長につながる『信頼』のつくり方」と題し、サラヤ 取締役 コミュニケーション本部 本部長の代島裕世氏と、青木松風庵 代表取締役社長の青木一郎氏が登壇した。
セッションのテーマは「信頼」。物価上昇や地政学的リスクなど、先行き不透明な市況の中で企業がむやみに値下げをせず、「価値」を守ることがますます求められている。両社が、近年の急激な環境変化においても「信頼」を維持し、発展し続けられているのはなぜなのか。ナノベーション 取締役 チーフ・ブランディング・オフィサー 陰山祐一氏がモデレーターを務め、ブランドを守り育て、事業成長へとつなげていくためのヒントを探った。
2日目のオープニングキーノートでは、「サラヤと青木松風庵 関西企業2社の伝統と革新に学ぶ 事業成長につながる『信頼』のつくり方」と題し、サラヤ 取締役 コミュニケーション本部 本部長の代島裕世氏と、青木松風庵 代表取締役社長の青木一郎氏が登壇した。
セッションのテーマは「信頼」。物価上昇や地政学的リスクなど、先行き不透明な市況の中で企業がむやみに値下げをせず、「価値」を守ることがますます求められている。両社が、近年の急激な環境変化においても「信頼」を維持し、発展し続けられているのはなぜなのか。ナノベーション 取締役 チーフ・ブランディング・オフィサー 陰山祐一氏がモデレーターを務め、ブランドを守り育て、事業成長へとつなげていくためのヒントを探った。
右肩上がりの成長を支える「4つの経営理念」
ーー まずは両社がそれぞれの「信頼」をつくり維持するためにどんな活動をしているか、自己紹介を兼ねてお聞きしたいと思います。まず青木さんからお願いします。
青木 こんにちは。大阪や和歌山で和菓子・洋菓子の製造販売を行っている青木松風庵に、2005年に取締役として入社し、創業30周年の節目に33歳で社長に就任しました。みるく饅頭「月化粧」などのお菓子を通して、お客さまに喜んでいただく仕事をしております。
私たちが「信頼」のために大切にしているのは、4つの経営理念です。
ひとつは「おいしいお菓子をつくること」。やはりお菓子屋ですので、他社よりも「おいしい」と言われることを一番大切にしています。こだわりは自家製餡。実は、自社で小豆から製餡している和菓子屋は業界全体の1割程度に過ぎず、多くは餡子屋から仕入れているのですが、当社は創業以来100%自家製餡にこだわっています。また、良い原材料を使うために農家さんと一緒に作物をつくったり、安心安全な製造環境に取り組み、大阪の和菓子屋でいち早くISO22000を取得したりと、安全でおいしいお菓子づくりに力を入れています。

青木松風庵 代表取締役社長
青木 一郎 氏
2005年3月 青木松風庵入社取締役に就任
2009年9月 天平庵を設立常務取締役に就任
2014年3月 青木松風庵・天平庵代表取締役社長に就任
2017年11月 青木ホールディングスを設立代表取締役社長に就任
青木 一郎 氏
2005年3月 青木松風庵入社取締役に就任
2009年9月 天平庵を設立常務取締役に就任
2014年3月 青木松風庵・天平庵代表取締役社長に就任
2017年11月 青木ホールディングスを設立代表取締役社長に就任
2つ目に「お客さまを大切にすること」。「ご来店いただけてうれしい」ということを表現するお菓子屋を目指しています。たとえば、お客さまにはなるべく鮮度の良いお菓子を手に取っていただけるよう、出来立ての商品を毎日3回工場から直送したり、最近ではAIを使った発注予測を行ったりもしています。
こうしたことができるのは、がんばる仲間がいるから。「仲間とその家族を大切にする」が3つ目の経営理念です。青木松風庵は、550人の仲間のうち女性が83%を占め、管理職も70%が女性、役員も女性が多い構成となっています。そういった仲間が妊娠・出産後も子育てをしながら安心して働く選択ができるよう、0~2歳まで無料で預けられる企業内保育園を設立。また、頑張った繁忙期の後には仲間全員で社員旅行に行くなど、社内行事も充実させています。
そして4つ目は「地域社会に貢献すること」。地域社会に恩返ししたいと、観光工場「月化粧ファクトリー」の運営、「月化粧基金」による寄付、その他いろいろなスポンサー活動も行っています。
昭和59年に大阪の南端の地域で父母・祖父母の4人でスタートして、当初の売上が5000万円ほどでした。それが、40年で56億円までいきましたので、規模としては100倍以上に成長したことになります。42期目となる今期の売上高は66億円と予想しており、大阪のお菓子業界では売上ナンバーワンと自負しています。

最初の頃は店舗を増やすことで売上も拡大していましたが、その後は「月化粧」単体の取り扱いが増えてきて、最近は駅や空港、サービスエリアといった直営店舗以外での売上が伸びてきています。
ーー 4つの経営理念はまさに「信頼」につながる話だと思いますが、どのように編み出されたのですか?
「おいしいお菓子をつくること」と、「お客さまを大切にすること」は創業1年目に打ち立てています。2年目に初めての社員さんが入ってくれたので、「仲間とその家族を大切にすること」。そして4年目に、自分の会社だけではいけない。社会があってこその青木松風庵だと考え「地域社会に貢献すること」が加わり、4つの経営理念が出来上がりました。
これを、毎年レベルアップしていこうと考えています。




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