現場起点のEC・物流最前線 #05

まもなく到来 5G時代に向けて、EC・通販物流にどう取り組むべきか

前回の記事:
オムニチャネル時代の「EC・物流」、PL(損益計算書)の観点から見えてきた勘所

ECや通販物流「現場視点での最新情報」


 こんにちは。フェリシモの市橋です。こちらの連載ではECや通販物流に取り組んでおられる方向けに、現場視点での最新情報や取り組みをご紹介しています。どうぞよろしくお願いします。

 連載1回目は、ECはマーケティングリサーチ・商品開発から顧客対応・返品対応までフルフィルメント全体が壮大なピタゴラスイッチのようにつながることがポイントだとお伝えしました。

 連載2回目は、流れを止めてしまいがちなEC・通販物流の「現場トラブルあるある」を、ツイッターのハッシュタグ #EC物流トラブルかるたと連動してお伝えしました。

 連載3回目は、社会課題でもある物流クライシスの一つ「再配達」の解決に取り組むべき理由と、それに役立つ最新のラストワンマイルサービス30選をご紹介しました。

 連載4回目は、最近よく聞く「オムニチャネル」の勘所を、当社が実際に現場で運用している物流とPL(損益)の観点からお伝えいたしました。

 連載5回目の今回は、当社のEC・通販物流に特化した配送センターの5G時代に向けた取り組みについてご紹介します。そして、これから通販を始めようとするメーカーやD2Cブランドの参考になれば幸いです。また今、物流業界がとても熱いので同じようなお仕事されている方はぜひ情報交換お願いします。では本編です。
 

ロジスティクス4.0 ご存知ですか?


 さまざまなものがインターネットでつながり(IoT)、AI(人工知能)が制御することで自律的に人間の仕事を一部代わりにやってくれるという第4次産業革命(インダストリー4.0)という言葉をご存知の方は多いかと思います。

 ロジスティクス4.0とは第4次産業革命の物流版と言われ、ロジスティクス3.0までで機械化、自動化、システム化されたことで効率化が図られた物流業務を、IoTやAIの技術をつかってより一層省力化することで生産性を向上させる物流のイノベーションです。

 当社でも、機械化、自動化、システム化された最新の配送センターを1998年に神戸の須磨区に開設し、それまで複数箇所で行っていた1日あたり5万件以上の出荷を1箇所で対応することができるようになりました。
 
神戸市須磨区にある当社の配送センター エスパスフェリシモ

 こちらの施設には「スカイポーターシステム(SPS)」と呼ぶマテハン(物流設備)が導入され、天井の高い配送センターでは無駄な空間になりがちな頭上に張り巡らされたレールに吊り下げられたバッグが、5万SKUを超える商品が保管されている棚までコンピューター制御で自動的に搬送され、そこでピッキングした商品を投入するとさらに次の場所まで自動的に搬送する仕組みで、多品種の中から少量をピッキングすることが多いBtoC配送を効率的に行っています。
 
館内のスカイポーターシステム(SPS)

 また、国内外の生産地から日々入庫されてくる商品は、「自動倉庫」と呼ばれる無人の倉庫に自動的に格納され、商品をピッキングする棚までロボットが自動的に搬送する仕組みも導入されており、先程のSPSと連動して伝票投入から商品のピッキング、梱包、出荷まで最短で1時間以内に完了することができる施設になっています。
 
館内の自動倉庫の内部

 それでも連載3回目でお伝えしたように、物流業界では3Kとよばれる労働環境と、宅配便の個数が40億を超え近い将来60億個になると予測されるほど急増したことから、配送各社は送料の大幅な値上げを行いました。しかし、それでも人手不足は改善せず、荷物が届かないといった物流クライシスが発生し、ロジスティクス4.0による省力化と生産性向上は急務の課題となっています。

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