関西発・地方創生とマーケティング #11

交通の革命児 WILLERが実践する、お客さまの声を集める「仕組みづくり」

前回の記事:
交通の革命児 ウィラー 村瀨社長が語る「MaaSで実現する地方創生」

交通事業者は、マーケティングをしている?

 前回に続いて、後編では「移動をマーケティングすることで、地方創生につなげる」という話をお届けします。

 高速バスなどを展開するWILLER(ウィラー)村瀨社長の考えるマーケティングとは、「買ってもらえる仕組みをつくること」です。調査する、欲しいものをつくる、流通させる仕組みや売り方を考える、これらすべてを大きく捉えることだと語ります。

 
WILLER 代表取締役 村瀨茂高氏

 交通はインフラのため「安全」「定時」「速達」が常に求められます。国や事業者も、それらが最優先事項になる一方で、交通事業者はお客さまの要望をしっかりと聞く機会をもっているのか、疑問に感じているのです。

 「蛇口を開くと、いつでも安全な水が出てくる。これは何よりも重要なこと。だけど現状では、特別に美味しい水を出してやろうか、というビジネスにはならない。これと同じことが交通でも起きている」と語ります。

 つまり「安全」を最優先事項として順守するあまり、その他にもある「お客さまの要望」に耳を傾けて、それに応えていないのではないか、と疑問を投げかけるのです。

 一方で、WILLERは、当初はバスを持たずに「お客さまに最適なバスを紹介します」という顧客の要望に合った既存バス会社を紹介するビジネスであったからこそ、現在のように自らバスを所有して運行するようになっても「お客さまの声を聞くこと」が当たり前にできていると語ります。

 開業当初、WILLERのWebサイトからバスを予約して利用したお客さまからのアンケートが1日200通ほど集まっていました。それを月末にレポートとして各バス会社にフィードバックします。お客さまは、こういうサービスを望んでいると提案するわけです。

 しかし、バス会社は「それは分かるけど、バスの改造にはお金がかかるし」と躊躇します。そこで、お客さまの声に応えるために、WILLERは自分たちでバスを5台保有し運行を始めたそうです。
 
WILLERバス

 

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