「今だからこそ」ダイレクトマーケティング基礎講座 #11
2019年度に注目すべき、ダイレクトマーケティング5つの潮流【ペンシル 倉橋美佳】
2019/04/04
最初に持つべき視点は「グローバリゼーション」
過去10回にわたって行ってきた連載「『今だからこそ』ダイレクトマーケティング基礎講座」で、いくつかのキーワードを紹介していくにしたがって、さらに大きな5つの潮流(キーワード)があることに気づきました。2019年度は、消費増税などもあって、大きな変化に富む年になると予測されます。そのため、これらの潮流を念頭に、今までの事業を見直すきっかけにしてもらえたらと思っています。
1.Globalization(グローバリゼーション)
社会的あるいは経済的な関連が、旧来の国家や地域などの境界を越えて、地球規模に拡大して様々な変化を引き起こす現象である。(Wikipediaより)上記のように、グローバリゼーションは、海外事業や海外向けのサービスを展開するといった意味だけで使われていないことがわかると思います。
「日本だけでビジネスをしているから関係ない」ではなく、もはや日本のユーザーはグローバル企業のサービスなしには、生活ができなくなっているのです。
この成長の背景には、「分業の徹底」という要素が大きいように思います。付加価値の高いビジネスに注力し、付加価値の低いビジネスは人件費の安い場所に移したり、機械化を進めたり、徹底しています。利益率の高いビジネスは、顧客のライフスタイルさえも変化させてしまいました。海外で起こった、多くのイノベーションによって、ダイレクトマーケティングの世界も大きく動いています。
通販におけるグローバリゼーションは、Amazonに代表されます。購入のインターフェイス、サイトレスポンスの向上、配送サービスなどの高い利便性、定額サービスの導入など、あっという間に通販ビジネスの形を塗り替えてしまいました。
今後、通販の世界では、グローバル企業が提供するサービスが、ユーザーの求めるデファクトスタンダードになってしまうかもしれません。ですから、日本企業もサービスの独自性を整理し、プラットフォームとの棲み分けを明確に行っていく必要があると思います。
2.Platform(プラットフォーム)
スマートフォンの普及により、ユーザーが利用するメディアが大きく変化しました。さらに、SNSの台頭によりコミュニケーションの形も変化しています。TwitterやInstagramは「検索」の形を、YouTubeは「動画視聴」のライフサイクルを、Facebookは「コミュニケーション」の形を変化させました。そして、これらのプラットフォーマーの共通点は、データ活用です。あらゆるビッグデータを管理・活用し、また、個人をデモグラフィックデータ以外の趣味嗜好や繋がりといったようなグルーピングが可能となりました。
日本企業は内向きな企業が多く、完全な管理下で情報発信ができない状況では、そもそも取り組まないという会社もいまだに多く存在しています。しかし現在は、全ての情報をコントロールできる社会ではないことを理解することが必要です。
では、どうしたらよいのでしょうか。
それは、これらプラットフォームを活用し、ユーザーとのコミュニケーション、データ活用などを十分に行うことが求められています。
まずコミュニケーションは、双方向性に変化しています。それにより、ルールベースのエスカレーションでは、追いつかなくなってきます。必要なのは、やるべきことのミッション・ステートメントの浸透だと考えています。この考えに基づき、正しい現場をつくっていくことで、その場の双方向コミュニケーションが成立してくると思います。
次に、データ活用です。データは自社にあるものを活用するだけではなく、自社のデータをどう外部データと連携できるかという観点も含まれています。自社データも十分に管理・整理されてないという場合には、早急な対策が必要でしょう。