「今だからこそ」ダイレクトマーケティング基礎講座 #11
2019年度に注目すべき、ダイレクトマーケティング5つの潮流【ペンシル 倉橋美佳】
2019/04/04
次に見るべきは「Sustainable(サスティナブル)」
3.Sustainable(サスティナブル)
日本では高齢化が進み、100歳まで生きるというのが当たり前の社会に向かっています。世界では、同じように先進国の少子高齢化、新興国による人口増加と経済発展などが起こり、長く世界を継続するための意識が非常に高まっています。そういった背景もあり、日本のように大量消費時代を経て、モノが溢れていることを「豊か」とは言わず、「豊かさ」とは持続可能な社会であると考えるようになってきました。それは、シェアリングエコノミーという形で世界中に広がっています。
日本では昔から「もったいない」という言葉があるように、モノを大事にするという意識は非常にありました。
通販の世界ではどうでしょうか。同じように、通販のユーザーの意識にも変化が見られています。例えば、包装・同梱物など無駄なものを排除したいというユーザーの考えなどもそういった表れだと思います。
他にも、服や家具を購入せず定期的にレンタルするサブスクリプションモデルのビジネスの広がりもそういった動きを表しているでしょう。モノを所有するモノ消費から、モノを利用する「コト消費」への変化にも影響している考え方だと思います。
そういった中、通販ビジネスが毎月商品を届けるということが無駄にならず、かつ社会のためになるような取り組みに変化していく必要があるように思います。
4.Engagement(エンゲージメント)
エンゲージメントは、ユーザーが商品やブランド、企業に対して愛着をもっている状態を言います。「つながりの強さ」を表す、用語として表現されています。以前は、ただつながっている状態のみを固定客と位置付けていました。しかしながら、SNSなどのプラットフォームの台頭で、コミュニケーションがインターネット上に移っていくことで、愛着を持つファンを大事にすることの重要性が問われるようになりました。
過去の固定客は、対面や電話など閉ざされた関係でのコミュニケーションによって(もしくは何もしないことで継続している関係なども含み)、キープをされていました。
しかしながら今では、ソーシャルメディアによって評判が世の中に出回ったり、多くのユーザーが口コミを発するようになりました。それを目にする機会が増えただけでなく、「いいね!」などの反応を示すことのアクションを通して意志を表明できるようになりました。
オープンコミュニケーションを前提として、その上になりたつ「愛着」を構築していく必要がでてきました。もうひとつの要因は、新規獲得が困難になってきたことです。
新しい顧客の獲得が困難になればなるほど、LTVを上げる顧客を獲得する必要がでてきます。エンゲージメントが高い顧客は、LTVが高いデータがあるように、エンゲージメントとLTVは相関関係があります。
今後、ユーザーとの関係は、表面的なものから、より寄り添ったものになってくると考えられます。それがエンゲージメントを高め、企業の収益性を保つための必要条件となります。