関西発・地方創生とマーケティング #12

マーケターのキャリアは「転職」か「転社」か【近鉄都ホテルズ 能川一太】

人事異動に脈絡はあるのか

 人事異動と一言で言っても色々あります。総務から人事へ、その後に秘書へなど、一つの会社内で違う仕事をしていく、これは比較的よくあるパターンでしょう。

 先述の商社の方と話をして驚いたのは、長年、炭素という素材を扱ってきた人がいきなりデジタルメディア部門に異動してきたそうです。さすがは商社、仕事の幅が広いですね。

 一方、私の勤める近鉄グループは、生活サービス全般を提供していてバス、タクシー、海運という運輸事業から百貨店、スーパーなどのリテール、テーマパーク、水族館などのレジャー、そして不動産、ホテルなどもあります。

 さて人事異動に脈絡は、あるのでしょうか?

 皆さんも一度は、考えたことがあるのではないでしょうか。そして会社は、何も考えていないのではないか、と思っていませんか。



 私の人事異動は、こんな感じです。

 初めは建築技術者として、駅の看板も含めて駅舎全体の設計を担当。その後、駅の看板など、交通広告も含めマス広告を扱う部門で志摩スペイン村など沿線への観光誘致を担当します。

 次に、その志摩スペイン村に支配人として単身赴任し、テーマパークビジネス全般を担うことになります。この時、合わせて隣接するホテルも担当します。その後、近鉄が経営する遊園地や水族館などのレジャー事業全体を担当し、現在はホテル事業に携わっています。

 こうして見ると、自分では何か繋がっているようにも思うんですね。まあ、これは私がそう感じているだけかもしれないし、たまたまなのかもしれません。

 ただ、言えるのは、その時々でやっていることは、後々必ず何かの役に立つということです。そして、人の繋がりも然りです。

 こうしてアジェンダノートの執筆者として私が書いたものが、皆さんに読んでもらえるのも人の繋がり、ご縁ゆえです。

 特にマーケティングに関わる仕事をしている方は、他の職種の方に比べて人脈が広がりやすいように思います。おそらく、人脈の重要性を認識していて、コミュニケーションに積極的な方が多い、あるいは逆に、そういう方がマーケターに向いているからなのかもしれません。

 最後に、最近よく聞かれることですが「違う職場でこういう仕事がしたい」と意思表示すると、かえって意に反することになるのではないか、と。

 これについては、今や高度成長期のように人口増加と共にモノを作ればどんどん売れ、採用も買い手市場という時代でもないので、そんなことをしていたら、企業も立ち行かなくなります。

 本人の成長のため経験を積ませるという目的で少し遠回りさせることがあるとしても、そこを過ぎれば、やりたい仕事が出来ると信じて良いのではないでしょうか。

 ということで、企業・個人双方のためにも、自分が取り組みたいことは、きっちりと周りに意思表示した方が良いと思います。まあ、相手と言い方には気をつけた方が良いですけどね。
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