最新ニュースから読み解く、物流とマーケティング

ユニクロの「レジ待ち行列」を解消したRFIDタグの威力

時間短縮だけでなく、万引き防止にも効果を発揮


 最近、ユニクロのレジ待ちの行列が短くなったと感じている読者も多いのではないかと思う。今回は、その立役者であり、店頭から物流現場まで幅広く活用されるようになった「RFIDタグ」を取り上げる。
 
筆者撮影
 RFID(Radio Frequency Identification)タグとは、電波を用いてタグのID情報を非接触で読み取るシステムだ。JRの「Suica」よりも電波が遠くに届き、さらに複数点を一括で読み取れるところが秀逸だ。

 このタグを採用することで、これまで1点1点バーコードで読み取っていたのが、一瞬で複数点を読み取ることができるようになった。

 GUは、さらに進んでいて、2017年4月からセルフレジを導入している。ハンガーを外してセルフレジ内のボックスに商品を投げ込むと、一瞬で商品点数と会計金額が表示される。これによって精算所用時間が有人レジと比較して、最大約3分の1に短縮されるという。

 では、実際にユニクロのタグを見てみよう。



 外見上は普通のタグと見分けは付かないが、水をかけてみると中にうっすら部品が浮き上がってくる。かなり強い粘着素材で貼りつけられているため苦労したが、裏面を見てみると出てきた。



 これがレジ待ち行列を解消したRFIDタグだ。

 店舗側でRFIDタグを導入するメリットは、①商品入荷の際の検品の省力化、②レジでの精算時間の短縮化、③棚卸時間の短縮が挙げられる。時間が短縮されることで生まれる時間を接客に使えるという効果があるのだ。

 そして、もうひとつ、RFIDには「万引き防止」というメリットもある。RFIDのシステムは、データ読み取りに加えて、書き込みもできる。実はRFIDタグに書き込まれている商品コードはすべて連番が振ってあり、個品管理になっている。同じ商品(色、柄、サイズも同じ)でも、1点1点の識別が可能なのだ。

 この識別が可能な商品がレジを通過したときに、「レジ通過」という番号が書き込まれる。つまり、レジ通過していない商品を店外に持ち出すと盗難ブザーが鳴るという仕組みになる。店舗の出口には盗難防止用のリーダーが設置してあり、万引きしたものをポケットに隠してもブザーが鳴るようになっている。



 

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録