ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #08
日本の小売業が、世界最大ホームセンター「ホームデポ」のアプリ体験から学ぶべきポイント
感動した「ProjectColorアプリ」
ホームデポ公式アプリと、別アプリで「ProjectColor」というアプリがあります。使ってみて、感動しました。
ホームデポの店頭商品の品ぞろえは3~4万SKUあり、ペンキが全色・全容量揃っているということは、3000坪の広大な売場でもありえません(前編で記載したように坪効率は日本のホームセンターより良いです)。
ほとんどすべてのカラーバリエーションを店頭でそろえることができない限り、無駄足を踏むことになるかもしれない。多くの顧客にとってホームセンターが頻繁に行く場所ではないことを考えると、「わざわざ足を運んだのに、欲しい色と容量がなかった」というのはペンキを塗る意欲を削いでしまう残念な顧客体験です。
これを100万SKUのネット在庫と連動することで解消していることがひとつ。
もうひとつは、ペンキの禿げた場所の写真を撮影して、それを見て店頭で色を選んだけれど、実際に塗ってみたら違ったという顧客の悩みです。そこがハードルになって禿げたままにしているということはあるのではないでしょうか。店員さんに相談しても、店員さんが自宅まで来て試し塗りしてくれるわけではないので、難しいところです。
ProjectColorはこの悩みを解消してくれます。
ProjectColorを立ち上げて、「Colors」のタブから「Match a Color」をタップします。すると、カメラが立ち上がるので、ペンキの塗りたい場所を撮影し、塗りたい色の箇所をタップすると、最も似ている色とそれに似た色を提案してくれます。これだけでも「おぉ!」と驚きますが、まだ続きがあります。
色をタップすると、その色で塗った部屋のイメージ画像が出てきます。従って、リフォームのイメージをつかむのにも使えます。
そして、1ガロン、5ガロン…という普通の商品サイズで発注して、自宅配送・店舗受取りができるのはもちろんですが、試し塗りのためにサンプルをオーダーすることも可能です。
顧客の立場で、利用シーンをとことん考え抜かないと、こういう機能は開発できないはずです。顧客の立場に立って、本気で投資するからこそオムニチャネルを実現し、成果を出しているホームデポからは学ぶ点が多いです。
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