「今だからこそ」ダイレクトマーケティング基礎講座 #13

ITP対策と影響を徹底解説、大きな変革期を迎えるWebマーケティング業界

ITPにより影響が出るのは、「計測」「集客」「戦略」


 それでは、ITPによって、どのような影響が起きるのか考えていきたいと思います。

●「計測」にはどのような影響が出るのか

 Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを使ってWebサイトのコンディションを分析している方が多いと思いますが、次のような影響が想定されます。
 
  • 広告クリック後24時間以上経ってからのCV(コンバージョン)は、どの広告からなのか特定できない
  • ユニークユーザーの判定が24時間以内しかできない

 今まで以上に、不明(direct)の割合が増えて、広告の貢献が計測しにくくなります。クロスドメインなどのWebサイトは、ますます状況は厳しくなります。

 【対策】
サーバーログを活用した計測ツールであれば、影響を受けません。また、自社サーバー内で取得できるデータを保管分析することがさらに重要になります。

●「集客」にはどのような影響が出るのか
 
  • 広告測定が24時間以降は取れなくなるので、間接効果などアトリビューション分析に影響がでる
  • リターゲティング広告が24時間以内しかできなくなる
  • アフィリエイトサイトからの成果も24時間以内になるため件数が減る

 その他、オーディエンス広告にも同じような影響が出ると想定されます。アフィリエイトやリターゲティングで件数を獲得してきた企業にとって、非常に大きな変化であると考えられます。Webサイト外での集客がますます難しくなっていきます。

 【対策】
・サイト内の離脱抑制やコンバージョン最適化で広告効果の最大化を目指す。
・再来訪促進など、広告に頼ることが難しいため、オウンドメディアももちろんのこと、ソーシャルメディアなどを活用し、顧客とのつながりを形成する。

●「戦略」にはどのような影響が出るのか

 広告だけに集客を頼り、特定できない顧客データを活用することが困難になります。今後、データが自由に活用できなくなると、メディア側で起きる変化としては、いわゆるオールドメディアが再び重宝されると思います。広告・コンテンツやデータ管理がキチンと保証できるためです。

 では、広告主サイドはどうしていくべきでしょうか。私は、顧客のID管理に鍵があると思っています。各サイトやアプリなど、あらゆるものを顧客IDに紐づけて正しく管理をしていく必要があります。

 今まで以上に、オウンドメディアの役割と重要性が増します。サイト内の表面的なデータではなく、顧客データに紐づく管理をしっかりと行って整備することが、最終的には顧客を守ることにつながると考えています。

 現在のWebマーケティングにおける個人情報の重要視・保護の方向を理解し、継続的な顧客関係の育成を行うことがビジネスにおいて大きな差になっていくと思っています。
他の連載記事:
「今だからこそ」ダイレクトマーケティング基礎講座 の記事一覧

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録