「今だからこそ」ダイレクトマーケティング基礎講座 #14

ダイレクトマーケティングに、ブランドは必要なのか?

2、企業はスペック競争疲れをしている

 企業サイドでも同じようなことが言えます。特異な商品を開発したとしても、競合他社に機能や成分量などのスペック面ですぐに抜かれてしまったり、ほぼ同じような機能の商品を出されてしまったり、競争を繰り返しています。

 大量消費時代は、それでも商品を選んでもらえていたので良かったのですが、ものが売れない多様化時代には、プロダクトアウトだけでもマーケットインだけでも不十分で、「マーケットアウト型(顧客のニーズを起点に商品開発を進めていく考え方)」へ発想の切り替えが必要となったと考えています。

 多様化社会は、暮らし方や考え方などすべてにおいて、自分らしさを表現できます。その自分らしさには、もちろんプロダクト(製品)が紐付いてきますから、より能動的でかつ自己表現できる商品が求められるようになります。

 そこにはスペックではなく、「ブランド」で販売する、つまり「好き!欲しい!」という感情に訴えかけることになります。
 
絵・倉橋 美佳

3.ダイレクトマーケティングだけでは儲からなくなっている

 広告費が掛かり過ぎるという問題が起きています。

 同じようなスペックで同じような機能の商品を宣伝するために、各社が広告費を出してマーケットを広げているのですが、そのマーケットがある程度広がると、“椅子取り合戦”のようにひとつのマーケットを多くのプレイヤーで奪い合うことになります。
 
絵・倉橋 美佳

 その結果、一人あたりの顧客獲得単価が高騰して、採算がとれなくなるという状況に陥ります。そこでブランド力を高めて、指名買いを増やす取り組みを強化します。

 指名買いとは、例えば、検索エンジンでのブランド名での検索数を増やすなどで可視化でき、非常に効率的にユーザーを獲得できます。「ブランド検索をいかに増やすか?」をテーマに商品開発をすると、「持ちたい!欲しい!」というユーザーの能動的な行動によって販売される商品をつくることになります。

 「持ちたい!欲しい!」という能動性を必要とすれば、SNSの活用なども鍵となるでしょう。TwitterやInstagramのユーザーが増えて普及したことで、企業側もアカウントをつくり、そこで投稿することで情報の拡散力を持つことができるようになりました。

 その結果、「ブランド指名を増やす=ブランド力をつける」が広告費の削減につながっているのです。

 こういった背景がわかった上で、ブランドについて考えていくと
 
  1. より直感的に「好き」を形成する
  2. 「好き」を拡散でき、ユーザーの力によって形成される
  3. 目的達成の過程にあるプロダクトであり、その関連コンテンツも含めている

 ということが、今のブランド形成に必要なことだと感じています。では、どのように実践すればよいでしょうか。

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