関西発・地方創生とマーケティング #14
人気の「八代目儀兵衛」社長が語る、老舗の生き残り戦略。米屋が料亭、ギフト通販も展開
2019/08/05
強みを活かす、発想を転換する
八代目儀兵衛は、お米の種類や特徴、その炊き方についてよく研究し、その選定を飲食店から任せてもらえるほど熟知しています。飲食店と言っても、その種類は洋食、和食、中華、寿司など、さまざまです。八代目儀兵衛は、それぞれの用途に合わせてお米をブレンドしています。
その飲食店向けのBtoBで培った技術を強みとして、消費者向けにBtoC事業を展開、お米をギフト商品として位置付けて、インターネットで家庭に届けています。そのことで、お米を食べることの楽しさをさらに伝えていくことができると考えています。
たしかに普段、家で食べるお米を選ぶときは、産地か値段ぐらいしか見ないですよね。今日はカレーだから、チャーハンだから、ハンバーグだからと言って、炊くお米の種類を変えたりしません(少なくとも我が家では)。
でも、そんな料理ごとに合うお米があれば、試してみたくなりませんか?そして、誰かにプレゼントしてみたくなりませんか?
ギフトでお米を包んでいる風呂敷は、チーフにも使えるようなデザインです。オーガニックのガーゼは、スタイとしても使うことができ、お客さまがそれをSNSで紹介しています。
先日、アジェンダノートで連載をしているエトヴォスの田岡敬さんと京都祇園本店に行った際、八代目儀兵衛の通販事業部でクリエイティブを担当する、河野みなみさんからいただいたお米ギフトの風呂敷を妻が「チーフにしたら、ええやん」と言ってアイロンを当てていました。そして、私もチーフとして使っています(笑)。
体験を付加価値として差別化につなげる
お米は、水、研ぎ方、炊き方が違うと、味が変わります。だから、八代目儀兵衛では、土鍋を使って、一番美味しいお米を提供することを大事にしています。土鍋を使うことは、調理場のオペレーション的には大変になりますが、それによってお客さまに非日常的な体験を提供できることを重視しているのです。
八代目儀兵衛は、お米を扱っていますが、付加価値として「体験」を売ることで差別化しているとも言えます。「マーケティングは、嫌い」と言いつつも、橋本社長の発想と行動力を見ると、まさにマーケターなのではないかと思ってしまいます。