小売の未来は「ニューリテール」にある #01

伝統的なリアル店舗、革新的なEコマース。その対決の勝者は、どちら?

 米国や中国のようなデジタル化が急速に進む小売市場では、Amazonやアリババなどのデジタル企業が世界的に伝統的な店舗小売を凌駕している。その核心は単なるEコマースに留まらず、オフライン店舗を含めた新しいリテールビジネスの主流「ニューリテール」に移りつつある。

  この3回連載では、中国のリテールビジネストレンドを解説した劉潤(リュウ・ルン)の著書『新・小売革命』をもとに、単なる流通トレンド分析に終わらないそのビジネスの意味について、日本が学ぶべき点を論じていきたい。
 

1億元をかけた中国小売の勝負に勝つのは?


  2012年に、阿里巴巴集団(アリババグループ)の馬雲(ジャック・マー)と大連万達集団(ワンダ・グループ)の創業者である王健林がある賭けをした。

 「10年後の2022年にEコマースが中国の小売の50%を超えるか」というもので、実現すれば王健林は「1億元を払う」と約束したのだ。そして逆にもしそれが実現しなければジャック・マーが王健林に1億元払う、と。
 
©️123RF
  そして7年が経ち、約束の期限まで残りあと3年となった2019年の段階で、中国のEC市場は世界で最大規模ではあるものの、2017年時点で中国の小売に占めるECの割合は15%(5.5万億元)であり50%には遠く及んでいない。

  その一方で、万達は小売業態の百貨店業を売却し撤退することになった。同時に彼らはアリババを追いかける第2位のネット企業、騰訊(テンセント)と提携を推進し始めた。では、この賭けの真の勝者は誰なのか?

  共通している点がひとつある。それはアリババにしても万達にしても、もう伝統的オフライン店舗小売かEコマースか、という二者択一にこだわっていないということだ。それは言うなれば、新しい小売の形、「ニューリテール(新小売)」を目指している。

  2016年当時、アリババを率いるジャック・マーが中国でEコマースの消滅を予言し、これからは「ニューリテール」の時代であると告げた時、世界はまだその意味を理解していなかった。

  なぜならアリババが実際にEコマースで市場を席巻しているように見えたからだ。そしていまは先ほどの王健林の万達のように、目指すのはニューリテールなのである。ニューリテールは、オンラインとオフラインが融合した新しいビジネス形態のことであり、「一億元」の対象となるのは、ニューリテールでの勝者になるだろう。
 

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