小売の未来は「ニューリテール」にある #02
中国アリババがeコマースの台頭で、存在感が薄れていく街の小さな店舗と連携する理由
日本の小売の課題は、店舗の「人流」への依存
日本のEC化率は、中国の15%と比較してまだ6%程度である。その大きな差は、スーパーマーケットに代表される生鮮食品のeコマースの割合が2%と小さいことにある。
それは林小海の言葉を借りれば、日本はまだ「eコマース(の利便性)を利用できない消費者群」が多いということだ。今後の日本のニューリテールの可能性は、決済のフィンテックとデータエンパワーメントによる進化である。
データは「新しいオイル(石油)」と言われるが、それは持っているだけでは意味がない。特に、日本の大型リテールチェーンビジネスは、劉潤の図で言えば「物流」においては、マーチャンダイジング力や配荷力も含めてオンラインとオフラインが結合できているが、肝心の人の流れを把握する「情報流」や顧客の価値についての「金流」において、オンラインのデータによるエンパワーメントを活用できているとは言い難い。要するに、そのような日本の流通は、オフライン店舗の持つ毎日の「人流収集器」としての特性に頼り過ぎなのである。
そして明らかに伝統的な小売店の限界は、店舗特性そのものを基盤としながら「情報流」「金流」をオンラインから得られるデータを活用できていないということだ。アリババの優れているところは、仮に同じ顧客が同じ店舗に訪れなくても、「物」と「金」の流れを絶えさせない仕組みをつくり上げているところである。
次回はそのオンラインでのリピート購買に直結したアリババで最も有名な生鮮食品スーパー、盒馬鮮生(フーマーシェンセン)について解説したい。
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