ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #14

日本から注目集める、中国スーパーマーケット最新事情。フーマーの新業態と競合の動き

前回の記事:
中国スーパー「盒馬鮮生」が、顧客から圧倒的に支持される理由がわかる1枚の写真


 前編では、アリババの「盒馬鮮生(以下フーマー)」が顧客に支持されているニューリテールの本質について書きました。後編では、前編に書ききれなかったフーマーの新業態と競合他社について紹介します。
 

実は、フーマーでは現金も使える

 様々な書籍やコラムで「フーマーの店頭では現金決済が使えず、モバイルペイメントだけ」と紹介されていますが、実際に店に行くと現金の使えるレジもあります。政府の要請でやむを得ず、使えるようにしたということです。

 筆者も実際にカウンターで現金での買い物をしてみました。
 
平日午後2時半過ぎ「盒馬鮮生King88店(写真はいずれも筆者撮影)

 フーマーに限らず、平日の午前中~日中は、高齢者の来店が多い時間帯です。スマホ所有率が99%を超えて誰もがAli payやWeChat payを使うと言われる上海でも、この時間帯は現金決済ができる有人レジを利用する人が意外に多かった印象です。
 

フーマーの競合他社の動きは?



 テンセントが一部出資している永揮超市の「超級物種」は、WeChatミニプログラム(アプリ内アプリ)でセルフスキャンして決済する取り組みが行われていたほか、輸入食品も多く取り扱っていました。それ以外は、フーマーとほぼ同じ店舗形態でした。


 
 国営企業の百聯集団(バイリエングループ)が運営するオフラインとオンラインの融合がコンセプトの「RISO」は、平日午前中に視察に行ったこともあり、店内で買物をする客よりもオーダーをピックアップする店員が目立つ様子でした。

 ここもWeChatミニプログラム(アプリ内アプリ)でセルフスキャンして決済する仕組みを導入しており、ノーチェックだった「超級物種」と違って、出入口のガードマンに購入確認をしてもらう方法でした。

 フーマーと比較すると、「モバイルオーダーで店舗から○km以内○分以内に無料宅配」や「店頭の食材を選んでグローサラントで食べられる」といった表面上のサービスは模倣しているものの、フーマーPB「日々鮮」のような自社Brand表現はありませんでした。見た目を真似ても、顧客に支持されるには厳しいという印象を受けました。

 中国の消費者はマンションを購入する場合にも、フーマーから3km以内にしたほうが良いという話をしている方もいるくらいです。競合他社が追いつくのは、かなり難しいと感じました。
 

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