小売の未来は「ニューリテール」にある #03
新たに提示された「ニューリテール」の課題、日本の小売業はどのような世界を描くのか
ユニクロは「情報」でGoogleと競争している
かつてユニクロの柳井社長は「ファッションは情報である」と言い、最終的にユニクロの競合はGoogleになると予言した。その言葉が現実化するならば、ニューリテールの戦いになることは間違いない。その意味でユニクロもEC化をアグレッシブに進めているが、まだそれはAmazonのリアル店舗化と同様、主流とは言い難い。
そしてそのカギは、いかに「情報流」を活用できるかにかかっている。ここで小売をいかに情報によって「高効率化」できるかという課題について考えてみよう。
劉潤の『小売革命』によれば、この情報流の効率化を目指すには、小売ビジネスの基本であるパーチェスファネルから見直すことが重要である。
小売の効率とはトラフィック、成約率、客単価、リピート率の掛け算である売上を、その条件である売り場面積や固定費で割ったものである。
リアル店舗において、最も効率がよいと言われるAppleは、一平方インチあたり5546ドル(古い情報でエイシコムの調査だが、Appleストアの坪効率が1620万円で一店舗は約40億円を売り上げると言われている)。ニューヨークや銀座といった一等地に店舗を構えているが、もちろんその高額な土地代を払っても割に合ったビジネスをしている。
逆に言えば、そのようなロケーションでトラフィックの多い「人流量」を確保しつつ、高い付加価値を持った商品による客単価の高さ、強いブランド力による成約率の高さが相互に作用しているからである。
これはAppleというブランドの強みだけでなく、スマートフォンという幅広い顧客層が求める高い付加価値商品カテゴリーを扱っているという点も重要である。
したがって、このようなモデルは多くの人に知られた認知のあるブランドでかつスマートフォンのような高価で高付加価値製品を扱っている。つまり、ジュエリーのようなラグジュアリーブランドやハイファッションのようなブランドではうまくいくものの、いくら有名だからと言ってコカ・コーラやマクドナルドは、ニューヨークの五番街に出店することはないのである。