デジタル販促 研究会レポートSponsored

8100万ユーザーのLINEが考える「デジタル販促」の未来【デジタル販促 研究会レポート】

店外から購買まで、ユーザーの購買行動を線で追いかける


 LINEは現在、「LINE Sales Promotion」と位置情報(BeaconやGPS)を掛け合わせたソリューションに注力している。それを活用したサービスが「LINEチェックイン」だ。これはLINEユーザーがBeacon端末が設置された店舗の電波圏内に入ると、ユーザーメリットのあるクーポンなどをPUSH通知で送付できるというもので、店頭でスマートフォン画面を開いてもらうソリューションになる。

 「現在、全国のローソン約1万3400店舗に『LINE Beacon』が設置されている。店内に入ったLINEユーザーを対象に1日1回参加できる抽選キャンペーンを展開し、店内でローソンのLINE公式アカウントを開くとクーポンが当たる仕組みになっている。メッセージの中に商品を訴求するバナーを差し込むことで、店内POPの代わりとしても活用できる」(江田氏)。

 また、同社は今後、「LINE Sales Promotion」として「LINEチラシ」の開始も予定している。これはパーソナライズされたチラシやDMなどの情報をユーザーに配信できるサービス。閲覧したユーザーが実際に来店したかどうか Beaconを使って効果測定も可能だ。

 「LINEは購買設定のメニューを拡充している。ユーザーがリアル店舗に来る、店内でどの商品を買うか考える、購買するという流れでいうと、購買が『LINEマイレージ』、店内のユーザーを細く分析するのが『LINEチェックイン』、店外から来店に結びつけるものが『LINEチラシ』になる。今後は、誰が来店して、その人が店内でどの棚の前に行き、何を買ったか、どのようなアプローチをすると購買につながるのかを線で追いかけられる」



 講演の最後に江田氏はLINEを活用したデジタル販促の未来について言及した。

 「LINEを活用して“楽しい、お得、便利”な購買体験の向上を進めていきたい。日本はキャッシュレス決済が普及していく段階ではあるが、LINE Payも連携させながら今後の日本のOMO(Online Merges with Offline)、ひいてはデジタル販促のあるべき姿を考えていきたい」と意気込みを語った。
 

消費者にとって大切なのは、付かず離れずの空気感や気持ちよさ


 講演後は、「販促市場の最新動向と、小売流通・メーカーの課題、生活者が求めていること」をテーマとして掲げて、ボードメンバーによるディスカッションを行なった。
 
<ボードメンバー>
Preferred Networks 執行役員CMO/イトーヨーカ堂 顧問 富永 朋信氏
オイシックス・ラ・大地執行役員 兼 COCO(Chief Omni-Channel Officer) 奥谷 孝司氏(当日欠席)
イオンドットコム デジタルマーケティング事業本部 本部長 安岡 智史氏
デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長 鈴木 康弘氏
サントリー酒類営業推進本部 部長 中村 直人氏
店舗のICT活用研究所 代表 郡司 昇氏
LINESP Sales Promotion室 / 室長 江田 達哉氏

 はじめに、LINEに届いている生活者の声について江田氏は、「キャンペーンに関してポジティブな声が多い。ユーザーにメリットを提供できる施策であれば、スムーズに参加していただいている。ユーザーがストレスなく参加できる仕組みを考え続けなければいけない」と話した。

 ボードメンバーからは、多くのアプリや販促施策が展開されている現況を踏まえて、次のような声が挙がった。

 「デジタルが浸透した今の時代にあった商売・小売業とは何かを考えるフェーズにきている」

 「そもそも販促施策を決めるメーカーとバイヤーの商談がお客様目線とはずれた議論になりがち」

 「販促という言葉がそもそも企業目線、営利目的が見破られている」

 「今の消費者は賢いため、企業が営利目的の情報を多く配信すると飽きられて除外されてしまう。それを打開するキーワードが“気持ちよさ”だと思う。必要なときに寄り添って提案してくれる、付かず離れずの空気感が必要」

 「理想的なデジタル販促は売上に応じたレベニューシェアモデルなのではないか。また、売上に応じて販促費を支払う方が各社とも良いのではないか」

 さらに、LINEならではのデジタル販促についての議論でも様々な意見が挙げられた。
 「コミュケーションアプリとして浸透しているLINEが取り組むのであれば、『販促』ではなく『コミュニケーション』という観点で追求した方が生活者に受け入れられるのではないか」

 「思い切ってインセンティブを付与する販促を止めてみるのはどうか。インセンティブではなく、気持ち良さや満足度を高める方が本質的な販促効果につながるのでは」

 「カテゴリーキャプテンが責任をもって担当の棚のコンテンツを考えてみるのはどうか」


 

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