ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #15

OMO時代、サントリー・Oisix・ビームスの「成果=営業利益」に繋がる顧客体験

前回の記事:
日本から注目集める、中国スーパーマーケット最新事情。フーマーの新業態と競合の動き

セッション「成果=営業利益に繋がる顧客体験」をレポート




 O2Oのようにオンラインとオフラインを分けて考えるのではなく、一体として考えるOMO(Online Merges with Offline)時代。

 商品そのものの価値だけではなく、購買体験全体における価値、つまり顧客体験価値の全体最適が必要です。
 
 マーケティング力の限界を超え、マーケター自身の成長につながる知識と情報、ネットワーキングを提供するフォーラムを目指した「Ne Plus U(ラテン語でne plus ultraは、極致、それ以上越えられない限界という意味)」。

 その思いを込めたネプラス・ユーのセッション「OMO 成果=営業利益に繋がる顧客体験」が、スピーカー各位のおかげで素晴らしい内容となりましたので、その一部をお伝えします。私はモデレーターを担当させてもらいました。まずは、各登壇者の取り組みからご紹介します。
 
店舗のICT活用研究所 代表 郡司昇氏
 

サントリーの顧客体験向上に向けた取り組み

 
サントリー酒類 営業推進本部 部長 中村直人

 ECサイトの中でのお客さんの動きは見えていましたが、実際の店舗ではそれが取れていませんでした。そこで、店舗にカメラを設置し、顧客行動を把握できるようになったので、その事例を紹介します。



 スライドは、大手スーパーのトライアルと一緒に行った施策です。「金麦ゴールドラガー」の陳列場所を移動し、その時の売れ数と売り場の動きをひと通り計測しました。「金麦ゴールドラガー」単品ではなく、売り場の売上最大化ということを目測に測定したわけです。

 その結果、トップラインを上げることによって売り場の生産性を高められました、サントリー商品だけでなくて売り場全体によい影響を与えたわけです。

 小売側から見れば、サントリー商品が売れようが、他社商品が売れようがどちらでも結果として売上が上がればいいという話になります。そういう点で売り場全体の責任を担いながら、最終的に自社商品の売上も上げていくという方向で取り組みました。

 売り場の奥のあまり人が通らないデッドゾーンに近い箇所にどの商品を配置するかでお客さまの動きが変わりました。これは今まで把握できず、手をつけられていなかった部分であり、売り場の改善を行うことで成果を出すことができました。

 サントリーは、「B to B to C」企業なので通常顧客といった場合、小売店舗などが顧客になりますが、小売とメーカーの共通の顧客として「来店されるお客さま」を捉える必要を感じています。これからは小売とメーカーが来店されるお客さまを共に見ていくことで生産性をあげる時代が来ているのです。

 従来は、「プレミアムモルツ」のブランドマネージャーは、プレミアムモルツだけを買っているお客さまだけを見ていました。これからは単品ではなく顧客に目線を向けて、顧客のライフタイムバリューを KPI としてサントリー製品自体の顧客と接触を増やすことに取り組んでいきます。

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