ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #15
OMO時代、サントリー・Oisix・ビームスの「成果=営業利益」に繋がる顧客体験
オイシックス・ラ・大地のサブスクリプションモデル
新規顧客の獲得コストの回収、一配送あたりの収支管理を徹底し、「持続的に利益を生むサブスクリプションモデル」を構築しました。
サブスクリプションモデルの収益性においては利益LTVが最も肝となるため、独自に体系化した「サブKPI」に分解し、個別に目標管理を実施しています。
サブスクリプションのポイントとして、まずはお試ししてもらいます。その後、利益を取っていくわけですが、これには数ヶ月を要します。
たとえ100万人の顧客がいても100万人が使ってくれていなければ、登録数だけ多くても全く意味がないのです。また、使ってもらうだけでなく、一回の注文単価がある程度高くないと収支もとれません。
本当にうまく回りだすとLTVが上がり、お客さまとの関係もうまく築けていくようになります。オイシックス・ラ・大地のビジネスはその輪に入ってもらうと、非常にうまく関係が続けていくようになります。これは生産者との間との関係も良くなるということにつながっています。
サブスクリプションモデルの拡大について、共通機能である「マーケティング」「フルフィルメント」を最大活用して、既存事業の継続的成長に加えて、新規事業の立ち上げや他社とのアライアンス、資本出資も視野に入れて規模拡大を図っています。
ビームスのスタッフによるコンテンツ作成事例
店と在庫を持つビームスというファッション小売がいかに利益を上げていくかが大事です。かつては、BEAMS 公式ドメインだけで、サイトが20個あり、お客さまが分散していることも問題でした。当然、管理には大きな無駄があったわけですが、これを一つに集約することで非常に効率化できました。
社内には反対意見も多かったが、一気に行いました。さらに、店頭のスタッフなどがコーディネート例を投稿できるようにしました。その結果、1年4カ月ほどで自社 EC の売上におけるスタッフ投稿コンテンツ経由の割合が65%になり、販売員が接客だけでなく PR もまかなうという役割を満たすようになりました。
この取り組みにより、店員の役割が変わってきています。スタッフがすすめるということがお客さまの信頼を増すことにもなっています。競合ブランドも増えているので、従来と同じやり方で成果を出していくとことはかなり難しかったのですが、その部分を解消できました。
参加スタッフ約2000人が自主的に投稿していて、累計で12万件の投稿になっています。スタッフコンテンツの質が高ければブランドか支持されますし、もし低かった場合はブランド毀損になります。そこで、開始して少ししてから表彰制度をつくりました。
店舗スタッフだけでなく内勤スタッフにも表彰制度は適用されています。ビームスの内勤スタッフも店頭に立っていたファッション好きなスタッフなので成果を上げています。内勤スタッフ1位の投稿経由で、売れた売上は年間12億円にもなります。
結果として停滞していた自社 EC サイトの利益率が、2016年のリプレース以降、大幅に上がりました。