ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #16

LINEとヤフーの経営統合が小売業に与える「6つの影響」

予測③ 家計簿、電子レシートアプリへの注力。


 IR資料を読み解くと、「AIへの投資」ということが再三、出現します。

 AIには学習データが必要です。PayPayとLINE Payなどで取得できるデータの多くは、誰が(Who)、いつ(When)、どの店(Where)で、いくら(How much)買ったかになります。何(What)をいくつ(How many)買ったかはわかりません。

 これらのデータを取得するには、中国でアリババやテンセントが取り組んでいるようにリアル店舗を自分たちで保有する必要があります。つまり、自社で拠点を持たない限り、レシートデータを別の方法で取得する必要があるわけです。

 そのための手段は、大きく2つ。小売業とアライアンスを組み、匿名化したID-POSデータを購入する。もうひとつが、レシートデータを取得する家計簿アプリ、電子レシートアプリです。

 そして肝心の、なぜ(Why)を把握するためにはOMO(Online Merges with Offline・オンラインとオフラインの融合)が必要です。これらを達成することで4W2Hから「Why」の仮説を立てることができます。

 仮説を立てるには、現時点では人の力が必要です。4W2Hから仮説を立てられる人財が必要となるでしょう。ただのデータサイエンティストではなく、ビジネスを理解して、仮説構築できる人です。そして、仮説があれば検証はAIの得意とするところです。


 

予測④ キャリアとしてのSoftbankが強くなる。


 この統合で早期にダメージを受けるのは、楽天などのECプラットフォームではなく、携帯キャリアです。

 docomoやauのスマートフォンの多くにもLINEがインストールされています。Softbankキャンペーンのプッシュは自由自在になり、無料LINEスタンプなどのインセンティブも積極的に実行してくるでしょう。

 3大キャリアが共同で始めたLINE対抗メッセージアプリ「+メッセージ」を日頃使っているユーザーは多くないと推測します。日本国内でメッセージツールとしてのLINEに対抗するのは至難の技です。

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