ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #17

リニューアルした渋谷PARCOが、最も価値の高い1階に「商品を売らないお店」を出店した理由

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LINEとヤフーの経営統合が小売業に与える「6つの影響」
 無人店舗、AI(人工知能)、モバイル決済…新たなテクノロジーが次々とリテール領域に導入されはじめています。また、大手リテール企業の倒産やネット企業による店舗チェーン買収も注目を集めています。本コラムでは、そうした国内外のニュースから可能なものは自ら体験しつつ、今後のリテールのあるべき姿と未来像を紹介していきます。
 

複合商業施設の使い方は、「人×シーン」で異なる


 渋谷で文化をつくってきた渋谷PARCOが3年間の大改装を経て、11月22日にリニューアルオープンしたのは、ご存じだと思います。この記事を今読んでいる方の中にも、すでに行かれた方が多いでしょう。私は開店から2カ月で4回行きました。体験した店舗は、次の通りです。
 
■11月21日
プレオープン。全フロア全店舗を回遊。
購入店舗:Nintendo TOKYO、CAPCOM STORE TOKYO、Anker Store、JINS(コンタクトレンズ自動販売機)、HIP SHOP。
食事:松尾ジンギスカン、おにやんま。
 
JINSでコンタクトレンズ自動販売機を体験

■11月24日 
昼食利用。地下1階 アメリカ西海岸でミシュランも獲得したJikasei MENSHO。

■12月10日
打合せ利用。6階 日本初のモバイルeスポーツを中心としたパブリックビューイングカフェ&バーであるGG Shibuya mobile esports cafe&bar。

■12月16日
昼食利用。地下1階 福岡発の行列ハンバーグ店 極味や。
 
 

 筆者の場合、食事利用の地下1階と7階、テクノロジー活用売場の5階 NEXT TOKYO、デジタル×サブカルがテーマの6階 CYBERSPACE SHIBUYAを中心に立ち寄っています。

 ファッションが大好きな方は、私とは逆に2、3、4階のファッション&アートを目的に通っていることでしょう。このように多様な人々が集まる複合商業スペースにおいて、十人十色で全ての人が通過するフロアは1階です。

 百貨店の1階のほとんどが高級ブランド化粧品なのは、坪当たり粗利益が高いビジネスだからです。当たり前ですが、最も価値のある場所が最も高い家賃です。高い家賃を払える業態が1階なわけです。

 では、リニューアルしたパルコの1階には、何があるのでしょうか。

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