最新ニュースから読み解く、物流とマーケティング #06
Amazonの配送会社が急変し、熾烈になる競争。2020年EC物流大予測
2020/01/22
キーワードは、「しのぎ合い」
ここ数年、EC物流は激変し、社会からの関心も高まってきている。そこで今回は2020年のEC物流が、どうなっていくのかを予測してみよう。
私は、2020年はEC事業者を悩ましてきた「ドライバー不足」「運賃値上げ」「荷受け量の制限」という「物流クライシス」に変化が訪れる年になると予測している。まずは、次の表を確認してみよう。
このグラフは、ECサイトで購入した商品の再配達管理などができるアプリ「ウケトル」が取得したデータから、Amazonが利用している宅配キャリアの変化をグラフ化したものだ。2017年4月のAmazonは、ヤマト運輸を71.4%利用していたが、2019年5月では31.8%に減少している。一方で、日本郵便と佐川急便のシェアは、大きな変化は見られない。
その代わりに、一気にシェアを拡大しているのが「Unknown」だ。では、「Unknown」とは、いったいどんな配送会社なのか。
Amazonは、宅配クライシスに対応して、2つの配送スキームを構築した。ひとつ目は、2013年頃からスタートした「Amazon・デリバリー・プロバイダ」だ。全国9社の地域宅配事業者と提携して、ラストワンマイルを委託する配送スキームだ。
2つ目は、2018年からスタートした「Amazon・フレックス」。Amazonが軽貨物車を持っている個人事業主と契約し、決められたエリアを宅配してもらう配送スキームだ。これら2つが「Unknown」に該当する。
どちらもスタート当初は、配送トラブルが多かったが、経験を積むにつれてクオリティは上がっている。また、Amazonは2019年7月から「置き配サービス」をスタートさせた。これにより注文者は配送時間を気にする必要がなくなり、ドライバーも不在時の再配達がなくなった。さらに、配達サービスの「時間指定が守れない」「配達時の応対が悪い」といった評価が低い面も改善される。
これがAmazonと宅配3大キャリアとの「しのぎ合い」だ。筆者は、2020年はさらに「Unknown」のネクスト・ラストワンマイルサービスによる配達が拡大していくと予測している。ちなみに先週、我が家に届いたAmazonからの配達もデリバリー・プロバイダーのドライバーによるものだった。