最新ニュースから読み解く、物流とマーケティング #06

Amazonの配送会社が急変し、熾烈になる競争。2020年EC物流大予測

楽天とヤフー、巨大プラットフォーマーの「しのぎ合い」


 2019年9月、楽天は「楽天市場」において、送料無料となる購入額を税込3980円以上で統一することを発表した。同時に、出店者の物流業務を請け負うサービス「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」も拡大している。楽天出店者の物流をRSLに集約し、ラストワンマイルの配送までを統合していく計画だ。この物流投資に、2000億円拠出すると発表している。

 もうひとつの巨大プラットフォーマーであるヤフー陣営は、アスクルへの経営参画強化やZOZOのグループ化、LINEとの経営統合、PAYPAYモール・PAYPAYフリマのスタートと矢継ぎ早に手を打ってきた。Amazon、楽天の2強に対抗する巨大流通コングロマリットの形成が予測される。もちろん、アスクルの自社配送スキームを活用したラストワンマイルの構築も射程に入っているだろう。

 今年も、3大プラットフォーマーの凌ぎ合いから目が離せない状況が続くだろう。


 

配送キャリアの「しのぎ合い」


 2020年8月、東京都江東区に佐川急便の物流センターが竣工される。延床面積5万5000坪の巨大なセンターで、全国への輸送ネットワーク網の効率化を支えるインフラとなり、今後も増え続けるEC配送の物量に対応した中核センターとなる。これまで物量の拡大に消極的だった佐川急便も2020年8月以降は、精力的に案件の獲得に乗り出すことが予想される。

 対するヤマトは、宅配クライシス以降、ドライバーの待遇改善(働き方改革等)や夕方以降に特化した配達員「アンカーキャスト」の採用と、配送インフラの整備を進めてきた。ところが、前述のAmazonからの荷量の激減が影響し、全国の配送拠点を支える物量が不足している影響で、2019年4~9月期は純利益が34億円の赤字となった(ヤマトホールディングス 2019年7月1日~2019年9月30日四半期報告より)。この物量不足解消のための営業強化が、重点課題になると予測される

 宅配クライシス以降、ヤマト運輸と佐川急便の宅配荷物を奪ってきたのが日本郵便だ。さらに、リピート通販企業を中心に3cm以内の厚さで安く送れる「ゆうパケット」に宅配荷物を移し、そちらの荷量も増大している。

 また、日本郵便は、メルカリとの提携が3大キャリアの中で最も進んでいる。「ゆうパケット」と「ゆうパック」の中間サイズで「ゆうパケットプラス」という商品をメルカリ専用で販売開始した。専用箱が65円(税込)、配送料金は375円(税込)という破格の値段で、24cm×17cm×7cm(長さ×幅×厚さ)・2kg以内に対応できる。配送キャリア同志のしのぎ合いも、ますます熾烈になりそうだ。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録