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リテールから考える「マーケティングの本質論」 #02

あなたのマーケティング策が失敗する、たった一つの理由【コメ兵 藤原義昭】

前回の記事:
小売業のマーケターは「伝道師」になろう

「中長期視点」が大事

 私は、経営者は「中長期視点」、マーケターは「中短期視点」を持つことが大切だと考えています。経営者は会社の5年後、10年後を想像しながらビジョンを掲げてミッションを設定、経営資源を最適に配分し、投下します。一方で、マーケターはどうでしょうか。目の前の売上と利益を追いながらも、近い将来の成果を出すための仕込みを複数同時に行っていきます。施策によってはスタートさせるために1年から2年ほど掛かることもあります。

 小売業で言えば、店舗施策もそのひとつでしょう。店舗サイズが大型になれば、それだけ時間がかかるうえ、今、小売店舗が重視している「新しい体験」もマーケターの業務範囲に入ります。少し前までは店舗開発部署が担っていた、設備やツールもマーケターが探さないといけません。

 最近では、キャンペーンの企画から実行までを「広告代理店に丸投げ」というケースも減り、施策をひとつスタートさせるためにパートナー数社と協力しながらつくり上げることも少なくありません。現に当社の場合、その方が多くなっています。

 サービスのローンチやキャンペーンのスタートのタイミングによって、結果は変わってしまいます。そこで、最高のタイミングでスタートするには、かなり前には準備が終わっている必要があります。

 私は常々、チームに対してプロジェクト期間の半分までに、必要な作業の80%を終わらせることがベストだと言っています。私も含めて、なかなか前倒しし続けるのは難しいのですが。

 

「マーケターは言うよ」

 しかし、準備を前倒ししたからと言って、全ての施策が成功するわけではありません。

 職業柄、企業内のマーケティング部署や販促関連系の部署など企画サイドと話す機会があります。よく耳にするのは、マーケティング部門がいくら考えても現場が動いてくれないということです。

 戦略や戦術はどう考えても良いはずなのに、結局は失敗に終わってしまった。

 なぜ失敗だったのか反省するとき(反省すればまだ良いのですが)、店頭で配布予定だったクーポンがものすごくあまってしまった。「現場が動いてくれなくてさ」という話をよく耳にします。

 はっきり言いますが、それはマーケティング担当者の責任であって、現場のせいではありません。いくら良い計画でも実行されなければ、施策のひとり歩きで何の価値もありません。それは、つまり策を立てるより、実行の方が難しいということです。

 では、どうすれば現場を動かすことが、できるのでしょうか。

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