現場起点のEC・物流最前線 #05

まもなく到来 5G時代に向けて、EC・通販物流にどう取り組むべきか

配送センターを自前で持つべきかどうか


 さて、ここまでは当社のEC物流の取り組みと未来について考えていることの一部をご紹介してきました。では今後、新たにECや通販を計画しているメーカーやD2Cブランドもこのように自前の配送センターを構築していくべきなのか、という疑問があるかと思います。

 ここは議論の分かれるところだと思います。巨大な設備投資を行うとその減価償却費が利益を圧迫するため、自社が行おうとする事業は果たしてどうなのか、実際にPL(損益計算書)を描いてみることが重要だと思います。連載の4回目でも少し触れましたがECでは店舗の賃料はかかりませんが、自社ECの固定費や、売上に応じたモールの手数料などの変動費がそれなりに発生するため、今後も上がり続けると予測される物流コストをいかに下げるかが課題になってくるからです。

 個人的には、物流業界は今後GAFAや日本でも大手プラットフォーマーが社会課題の解決のため(そしてそれは莫大な売上をもたらすため)、AIやロボットによる無人配達などロジスティクス4.0に一層力をいれて取り組んでくると思っています。宅配の小包を英語でパケットと言いますが、パケットの効率的なルーティングやトラフィックの制御、そしてそれをフリーミアムに提供するビジネスの組み立ては彼らがクラウドで日々行っている得意分野であり、日本の物流業界が思いもつかない方法でイノベーションを行ってくると予感しています。



 そのような未来を予測したうえで、自社のブランドはどういう価値を提供したいのか、オリジナルの物流がコアコンピタンスなのか、顧客起点で今一度考えてみることが大切だと思います。正解は1つではなく、物流はブランドごとに違ってよい、と思います。ぜひ自社ブランドにとって最適な物流のあるべき姿を一緒に模索してきましょう。
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