最新ニュースから読み解く、物流とマーケティング #07

東京オリンピック開催中は、注文しても商品が届かない? ネット通販の物流事情を予測

五輪を機に「過剰サービス」の見直しがある?


 渋滞を緩和したい政府は昨秋、宅配大手3社に期間中の時間指定配達を中止するよう要請した。佐川急便、日本郵便は対応を決めかねているが、ヤマト運輸は中止に前向きだ。

 矢野教授はこれまでの過剰とも言える日本の配送サービスに対して、五輪開催が見直しを議論する絶好のチャンスになると明言し、「人手不足は深刻。きめ細かで質の高い従来の配送サービスの維持は難しい」と指摘している。さらに、「五輪を逃せば、サービスの見直しを議論できる次のチャンスはない」と断言した。

 組織委員会は昨夏、業界団体に呼び掛けて首都高速道路などで大規模な混雑緩和実験を実施したが、対象が約100団体と少なく交通量が思うように減らなかった。そのため個別企業への申し入れとして、宅配便の取扱数の9割を占める大手3社に対して時間指定サービス中止のほか、都心を回避するといった配送ルートの変更、再配達の削減、共同配送などを申し入れている。


 

ネット通販会社の対応策は?


 いくら宅配大手が時間指定中止を決めても、荷主である「ネット通販企業」が顧客から時間指定を受け付けてしまったら、大クレームにつながることは明白だ。

 また、顧客も大会への協力ムードも高揚してくると思う。そのため各ネット通販企業において、次のような期間中の混乱回避策は早めに検討したほうが良い。
 
①  大会期間中の時間指定サービスの中止告知
②  大会期間中の配送遅延の事前告知
③  配送不能と予測されるエリアの配送日遅延のお知らせ

 さらに定期購入型の通販企業では、大会期間前の配送日に2カ月分を発送するといった方策も考えられる。重点取組地区以外のコンビニ・宅配ロッカー受取の推奨も対策として検討する必要があるだろう。

 どうかギリギリになって後手の対応とならないよう、しっかり準備されて東京五輪を迎えることをお勧めする。
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