関西発・地方創生とマーケティング #18
「社員であることは半分、辞めることにした」シャープさん
大阪で、つぶやき続けることについて
SNSアカウントを担当している同業者は、9割が東京在住。だから会う機会は少ないんです。そういう意味では、東京にいると都合はいいですよね。
でも、人の営みは東京だけじゃないんです。家電は全国津々浦々で必要なもの。だから、東京以外にも色々な人がいるという前提でモノを言い、考えることが必要だと思います。
マーケターに冷静さが求められるのなら、地方から東京を見るべきだと思います。自分のいる場所は自分には見えないし、想像力が働かないものだから。離れていることによって、中心が見えて洞察や分析ができたりすると思います。その分、なんでも遅くなるかもしれませんが。
自論ですが地方にいると優しくなれる気がします。優しい人が考えた企画の方が人に受け入れられます。
どこまで想像力と思いやりを持って言葉に添えることができるか。それがネット上の共感を生むためのひとつの鍵になります。
「シャープさん」の人格はどのようにできたのか?
多くの企業がSNSでコミュニケーションする上で先に人格をつくりがちです。ゆるキャラとか、ペルソナを先に決めようとします。でも、自分は決して、こういう人であるべきだという決めつけはしません。
大事なのは会社とお客さんの間にいるために、どうしゃべり、振る舞うのがいいのかということ。
広告のコピーには、おうおうにして主語が書かれないことが多いですが、そこに隠されている主語は「我が社は」とか「われわれ」といった大上段な主語です。それをTwitterでは「私は」と小さく置き換えるのが私の仕事だと思っています。つまり、企業の言葉を個人の言葉にひきずり降ろすということです。
SNSは毎日しゃべることができるので、自ずと日々の積み重ねが人格として収束していくんです。だから人格やキャラは事後的に立ち上がる。もちろんテキストのマナー、文体はキープしています。日々のツイートに触れてもらった上で、信用のおける友人みたいに思ってもらえると嬉しいです。
何がオワコンか?なんて、どうでもいい話
Twitterに関しては、体感的に使っている人が増えていると感じていますが、増えたがゆえにリテラシーが低い人も増えて、コミュニケーションに齟齬が生じてきています。私は文脈を築いてモノを伝えるのが得意だと思っていますが、上手くいかないケースも増えてきました。
毎年新しいSNSやメディアが生まれます。「何がオワコンで、何がいまキテいるのか」という議論が好きな人は多いですよね。でも私からすれば、あまり興味がない。
大事なのは、SNSが定着した時代になり、企業がお客さんの近くでしゃべれるという振る舞いが確立したことであって、メディアや技術の話ではないんです。仮にTwitterが廃れたとしても、企業がお客さんと直接しゃべるという振る舞いはなくならないでしょう。ほかに有効な広告の手法がないなら、なおさら、そうせざるを得ないはずです。